橋下徹・大阪市長が言及した慰安婦問題に限らず、竹島領有問題などで「歴史認識問題」はなぜ繰り返されるのか。これまで日本はいつも歴史を捏造する「悪者」にされてきた。しかし実際には、韓国は日本を批判するために自国の歴史教育を嘘と作り話で固めてきた。韓国の歴史認識について、作家の井沢元彦氏が解説する。
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朝鮮王朝つまり李朝500年とは何だったかといえば、中国への朝貢国として隷属しそのコピーでなければいけなかった時代である。こうした時代、民族独自のものは徹底的に弾圧された。
ところが近代国家になるとコピーであることよりもオリジナルなものが求められることになった。そのため韓国が走ったのがかつては中国のコピー国家であったという前歴を隠し、「あらゆるものは韓国起源である」つまり外国から嘲笑混じりに「ウリジナル」と揶揄される主張の道である。これも歴史捏造には変わりない。
そこに韓国の国内事情が拍車をかけた。現在の韓国大統領は初の女性大統領の朴槿惠氏だが、その前任者李明博大統領から前任者を4、5代遡ってみると、すべて本人か近い親族が汚職に関する罪で逮捕されている。盧武鉉大統領に至っては逮捕直前に自殺している。また李明博前大統領の実兄も収賄罪で逮捕されている。
なぜこんなことが何代にもわたって続くかといえば、韓国は未だに儒教社会であり国よりも一族を重んじる慣習があるからだが、こうした事に対する不満をそらすために使われるのが「悪役」日本である。
李明博前大統領が典型的で、就任当初は日韓関係について未来志向と言っていたのに、自分の足元が危うくなると竹島に上陸したり天皇への謝罪を要求するなど、強硬な行動に出た。こんな強硬な行動が、支持率回復の特効薬になってしまっているのだ。だから歴史改竄はやめられないということにもなる。
また現在も行なわれていることだが、中国も韓国も、日本が戦後膨大な援助をして鉄道や空港などのインフラ整備に努めたこと、技術援助をしたことなどを国民に知らせていない。
特に韓国については近年は日韓通貨スワップ協定締結によって韓国の経済的破綻を何回か救っているのだが、韓国のマスコミはこれを正当に評価せず、その結果韓国人は当然感謝もしていない。これも事実の歪曲であると言えよう。こうして事実の歪曲は歴史の歪曲となって積み重なっていくことになる。
※SAPIO2013年8月号