芸妓(げいぎ)。舞踊や音曲・鳴物で宴席に興を添え、客をもてなす女性のことだが、なかでも佳つ乃(49才)は京都・祇園で名花と謳(うた)われてきた伝説の芸妓だ。
そんな彼女について、「祇園を追放された」と話すのは、約30年にわたって祇園に通う寺院関係者だ。
「辞めさせられたのは昨年末のことです。原因は簡単に言えば、行儀が悪かったということですわ。建前は“芸妓引退”なんですけど、実際は、彼女が所属する祇園甲部芸妓組合から辞めるように迫られたわけです」
15才でこの世界に飛び込んだ佳つ乃は、16才のときから各界の名士と接してきた。彼女のお座敷には歌舞伎、映画関係者、京都の財界人などが名を連ねた。
そんな彼女の名を世に知らしめたのが1985年の郷ひろみ(57才)との熱愛報道。その後も伊集院静(63才)や高橋克典(48才)らと浮き名を流した。彼女は芸妓を続ける傍ら、2010年に和風ラウンジ『祇をん 佳つ乃』をオープンさせている。
「1人15万とか20万円取られたとか、店の評判が芳しくないんですわ。私も“ワイン飲みまひょか”とか言われて、うなずいたらボトルが出てきて…。そしたら帰るとき、値段見て目ん玉が飛び出ました。
彼女は交友関係も広く、彼女自身に会いたいとやってくる客も多かったため、永年育まれた“一見さんお断り”の伝統を守れなかった。お金についての評判もあったし、これでは祇園の格を落とすと組合から引退を勧められたわけや」(常連客のひとり)
芸妓が引退するときは「引き祝い」をして辞める。実際、佳つ乃も昨年12月に引き祝いをしているのだが、ひっそりとしたものだった。
「彼女ほどの芸妓が内々で引き祝いをするなんて聞いたことがありません。ですから、彼女が引退したと知らない人も多いんです。今年4月の舞踊公演『都をどり』には、もちろん引退した佳つ乃さんは出演していなかったんですが、お客さんからは“佳つ乃さん、具合でも悪いのかしら?”という声が聞こえたほどです」(祇園の元芸妓)
“追放”されていたため、おおっぴらに引退を謳うことができなかったのだろうか。佳つ乃本人を直撃した。
「きちんと円満に辞めました。別に追放とかありしません。まあ、祇園というのは狭い女の世界やから、ヤキモチや妬みがいっぱいあるんどすぇ。でもヤキモチやかれるのも華やと思います」
こう艶然とした口調で笑った。
※女性セブン2013年7月25日号