就職難の昨今、企業もさまざまな採用方法を導入している。中でも「WEBテスト」(通称「ウェブテ」)は企業側の選考ツールとして数多く導入されている。自宅や学校のPCなどを使ってインターネット上で受けるテストだ。
企業側にとって、低コストで応募者の足切りができる便利な「ウェブテ」だが、他方で友人と共同で解く学生や、複数のIDを登録し、問題を全て解いた後に本命のIDで受験するなどの、不正も横行している。もちろん替え玉受験の例も少なくない。
実際に替え玉受験を頼まれることが多いという東大大学院生のA氏(24歳・男性)は、次のように話す。
「就活の時期になると、女子大の女の子たちから沢山メールが来るんですよ。『久しぶり! 元気にしてる?』という入りで、数回やり取りしているうちに『実はお兄ちゃんにWEBテストを頼んだんだけど、やってもらえなくて……』という流れに持っていかれます。ああ、またか、という感じですね」
ウェブテストは「言語(国語系)」と「非言語(数学系)」と性格診断があるが、同氏は前者の2つの替え玉を頼まれることが多いという。
別の東大生B氏(25歳)によると、ウェブテの替え玉依頼をきっかけとして高学歴男子を狙おうとする女子大生がいるという。
「ウェブテは本人専用のアカウントがあるので、実際に本人と会ってネットの繋がる環境で行なうことが一般的です。スタバやネットカフェのカップルシートで行ったりするので、急接近することもありますね。そうしたなかで、わざわざ自宅でやってほしいという女子大生がいるのもたしかです」
実際にウェブテをきっかけに現役東大生の彼氏を作ったという女性Cさん(23歳・保険会社勤務)が、当時の様子をふりかえる。
「女子大ということもあり、学内で彼氏を作るのは無理……。私は東大のオールラウンド系インカレサークルに入っていましたが、甘えた感じで頼めば、たいていウェブテはやってもらえますし、その流れで付き合うことになりました。就職活動の時期は、ウェブテやES(エントリーシート)を書くのに、東大生の知人がいると重宝しますよね(笑)」(Cさん)
企業のニーズを満たすためのWEBテストだが、学生たちは思わぬ活用をしているのが実態のようだ。