いま、日中韓の関係をどう捉えるか。「日本包囲網」という言葉も見られ、日本の孤立も指摘されるようになった。以下は大前研一氏の指摘である。
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韓国の朴槿惠大統領が中国を訪問して習近平主席と会談し、これを機に両国がハネムーンを演出して急接近するのは間違いない。実際、韓国の新聞は、今回の首脳会談は日本と敵対する2つの国がいかに連携を深めるかが共通の目標であるとはっきり書いている。
また、朴大統領に同行した約70人の経済使節団のリストには、現代、LG、SKをはじめそうそうたる財閥トップ(オーナー経営者)らがズラリと名を連ねた。かつての日本で言えば、松下幸之助氏、本田宗一郎氏、盛田昭夫氏らが揃って行くようなものであり、その顔ぶれを見るだけで、韓国の意気込みがよくわかる。
いま、韓国のロビー活動は世界中で活発化している。すでにアメリカでは韓国ロビーがイスラエルロビーや中国ロビーと肩を並べるほど強くなり、票とカネを背景に大きな影響力を持っている。それは韓国の外務省が進化して外交の演出ができるようになった証しであり、その力はもはや日本の外務省の比ではない。
日本は、中国と韓国に包囲されつつあることを認識しなければならない。韓国の新聞には「日本包囲網」という言葉が頻繁に出てくるが、それを打開するためには、まず中国とこじれた経緯の修復が不可欠になる。
もちろん、目の前の課題を解決するだけで満足してはいけない。中国と韓国が日本に強硬な態度を取る背景には、両国で行なわれている反日的な歴史教育がある。戦後70年近く経っても日中、日韓関係がいっこうに改善しない根本的な原因だ。
それを正すための外交的な不断の努力ができてこそ、ここで中国と関係修復する意味が見えてくる。居丈高な右翼外交もダメだが、相手に譲るだけの土下座外交はもっと国益を損なうのである。
過去を振り返るのではなく、将来どういう関係を構築したいのか、というイメージを共有するところから第一歩を踏み出すしかない。
※SAPIO2013年8月号