内閣府の発表によると、全世帯の中で65才以上の人がいる世帯割合は、約4割で、そのうち、ひとりないし夫婦のみの世帯が、54.2%に達している(2011年度)。今や親世帯と子世帯が別々に住むのが当たり前という時代なのだ。
離れて住む高齢の親に対して、子供ができることで最初に思い浮かぶのが、電話をかけること。とはいえ、急に電話ばかりかけるのも気が引けるが、『離れて暮らす親に元気でいてもらう本』(自由国民社刊)の著者で介護福祉ジャーナリストの田中元さんは、親の現状を把握するのに、電話はやはりかかせないと語る。
「メールやLINEなどがある今でも、声の様子から把握できる情報が多い点を考えれば、やはり電話はいちばん有効でしょう。電話をかけるときには、何かしら口実や用事を事前に考えておきましょう」(田中さん・以下同)
用事もなく電話をすると、親は“気を使われている”と敏感に察知する。
「もちろん“気を使ってくれて嬉しい”とも感じるのですが、半面、気を使われるのは申し訳ないと気兼ねする人も多く、不安を抱えていたり、相談ごとがあっても、あえて子供に隠そうとする場合もあります。だから、何かしらの口実を作って電話をする心遣いが必要です」
孫の近況を報告したり、料理のレシピを聞いたりしてもいい。また、地元の名産品を送ってくれるようにお願いするなど、考えればいくらでもある。
「用件があっての電話であれば、親もかまえずに自然な対応ができるので、普段の様子がよりわかります」
週に1~2回、だいたい同じ時刻に電話をすると、時間帯による生活パターンや体調のバラつきを把握できるため、小さな変化も見逃しにくい。
「電話に出るまでの間隔というのは、立ち上がって電話口に出るまでにかかる時間のこと。いつもより遅い場合は何をしていたのか確認してみるのもいいでしょう。声のハリは健康状態のバロメーター。また、短時間の会話の中で、同じ話を繰り返すようなら、認知症の兆候かもしれません」
電話1本で、これらのことを把握できれば、その後の対処も考えやすくなるものだ。
※女性セブン2013年8月1日号