昨年11月、激戦区・梅田エリアにある阪急は、7年、600億円をかけた建て替えが終了し、グランドオープンした。以来売り上げは順調で、5月は前年比8割増を達成。
最大の特徴は、“劇場型百貨店”というコンセプト。約8万平方メートルに拡大した店舗面積のうち、2割が“非物販ゾーン”で、百貨店なのに物を売らないのだ。
9階には4層吹き抜けで約300人が座れる階段を設置した『祝祭広場』があり、ライブやゆるキャラ祭りなどさまざまなイベントを連日開催。ギャラリーも併設するなど、買い物だけでなく“楽しむ”スペースを提供している。
もちろん、物販も充実。パリにある行列のできるパン屋さん『ル・ブーランジェ・ドゥ・モンジュ』(地下2階)が海外初出店し、話題を呼んだ。
「地下2階の食品売り場にある『ワールドフードマーケット』のイートインコーナーでは、隣接するワイン売り場のワインも楽しめ好評です。味見をしてから購入するかたが多いですね」(阪急広報担当)
また、100m続く『スイーツブティックストリート』(地下1階)は、ベビーカーを押しながらでも余裕をもって歩ける広さの通路の両側に、パリの有名パティスリー『ラ・パティスリー・デ・レーヴ』など、約50のスイーツブティックが並ぶ。
船井総合研究所上席コンサルタント・岩崎剛幸さんはこう解説する。
「モノを売らずにコトを“楽しむ”空間では特別感を味わえる情報を発信し、新しい体験を提案する。これが購買意欲を刺激して、売り上げにもつながっていると思われます」
※女性セブン2013年8月1日号