内閣府の発表によると、全世帯の中で65才以上の人がいる世帯割合は、およそ4割に達しており、そのうち、ひとりないし夫婦のみの世帯が、2011年度の調査で54.2%に達している。世帯数にして、約1050万世帯にも上る。今や親世帯と子世帯が別々に住むのが当たり前という時代なのだ。
高齢期に生じるリスクには、高齢者に共通する疾患や事故と、本人固有のもの(持病や慢性疾患)がある。
「前者であれば、心疾患や脳血管疾病と同様に、肺炎のリスクも高くなってくるので、風邪やインフルエンザなどに親がかかっていないか、電話などを注意してかけるようにし、気づくことが重要です。また、後者の場合は、薬やかかりつけの病院を知っておくのも大切です。何か異変を感じたら、すぐに駆けつけてくれる人を近所などに見つけておきましょう」
と言うのは介護福祉ジャーナリストの田中元さん。
病気でなくても、行動範囲を狭めることにより、老化が進んでしまうこともある。
例えば、無理矢理、車の免許を取り上げてしまうのは、事故のリスクはなくなるが、親の生活範囲が狭くなり、一気に老化を早めてしまう恐れも。車に限らず“危ないから外に出るな”と言った瞬間に、親の行動範囲は半減してしまう。
「これまで当たり前にやっていたことを、いきなり制限されたら誰だってイヤなもの。まずは“自分だったら”という視点で親に接してください」(田中さん・以下「」内同)
親のためを思っての言葉が逆に、健康を奪う原因になりかねない。配慮が必要なのだ。
だが、年を取ると親でも気弱になってしまうもの。いつからそうなるのだろうか。
「料理中に鍋をこがしたり、トイレに行く前に失禁してしまったり。昔は決してやらなかったような失敗がきっかけになることが多いんです。よほど深刻な事態でない限り、大問題にせず“年を取るとよくあることだよ”と気楽に対応して、落ち込ませない心遣いが大切です」
年を取ると認知症の心配もある。認知症はアルツハイマー病や脳血管疾患などにより、記憶障害や正常な判断力の低下が起きる病気。
「認知症になると“自分がこうだと認知している世界”と現実にズレが生じるため、混乱したり、無理に現実とのギャップを埋めようと突飛な行動をとってしまいます。そこで周囲が大あわてをすると、本人も過敏になって混乱に拍車がかかることもあります」
※女性セブン2013年8月1日号