6月27~30日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が中国を訪問。習近平・国家主席との首脳会談では政治・安全保障分野で意思疎通を強化することで一致するなど急接近ぶりが目立っている
韓国の朴大統領の今回の訪中では、伊藤博文をハルビン駅で狙撃、殺害した安重根の記念碑をハルビン駅に建立することを求めた。それには習主席が前向きに応じたと報じられているが、中国事情に明るいジャーナリストの富坂聰氏は懐疑的だ。
「韓国側には、韓国関連のモニュメントを中国東北部に建てていくことで、“ここは韓国の土地だ”というアピールにつなげたいという思いが少なからずある。中国側もそれをわかっているから、これまで記念碑を許可してこなかったし、2006年に韓国企業家がハルビン駅近くに安重根の銅像を立てた時には10日後に撤去させている。最終的には実現しないでしょう」
尖閣諸島や竹島でも見られるように、歴史的事実に基づこうとする日本と違い、中韓両国にとって歴史は「作った者勝ち」。お互いに自分の都合のいい歴史を主張し合うのだから、解決のしようがあるはずがない。朝鮮半島情勢に詳しい評論家の三浦小太郎氏がいう。
「歴史的に見て、韓国は長く中国の属国でした。例えば韓国国内では、李氏朝鮮は日本に併合されるまで独立国として繁栄していたと教育されていますが、実際には中国を宗主国とする冊封体制下にあったのです」
ソウルの観光名所になっている「独立門」(1897年完成)。韓国人の多くは日本からの独立を記念して建てられたと勘違いしているが、実際には清の冊封体制から李氏朝鮮が独立したことを記念したものだ。
「韓国の教科書は中国の属国だったことをまったく教えていません。“李氏朝鮮まで独立国だったのに、突然、日本の植民地にされた”といった教え方をしている。それだけ徹底的に中国を無視している。反日感情の比ではないぐらい、韓国が中国を恐れ、憎んでいる証拠でしょう」(三浦氏)
※週刊ポスト2013年8月2日号