韓国の朴槿恵(パククネ)・大統領が中国を訪問。習近平・国家主席との首脳会談では日本を暗に批判、反日同盟が結成されたかのような報道もあった。しかし、中韓の対立は実は根深いものがある。
韓国による歴史の捏造はあらゆる分野に及び、それもまた中韓の諍いの原因になっている。産経新聞中国総局の矢板明夫氏が指摘する。
「韓国は漢字や漢方薬、端午の節句など、中国起源のものを自分たちの文化だと言い張り、中国人の反発を買っている。孔子が韓国人だったなど、『ウリジナル』は枚挙に暇がない」
『ウリジナル』とは韓国が「起源はウリ(=我々)にある」とする主張で、日本の剣道や茶道、さらには歌舞伎なども韓国発祥だと言い出している。その“被害”にあっているのは、中国も同様のようだ。
日本でも大ヒットした韓国の歴史ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』。中国でも2005年に放送されてブームになったが、物語が進むにつれて、一転、大ブーイングを浴びることになった。
「漢方医学が韓国発祥のように描かれ、鍼灸も韓国人が発明したみたいになっていた。あまりのデタラメぶりに、中国人は腹を立てたのです」(北京在住の中国人)
かくして『チャングム』は、2008年には中国のネット投票で「最も嫌いなドラマ」に選ばれている。
ドラマで描かれるだけならまだいいが、韓国はウリジナルを公式に認めさせるべく、国際戦略を展開する。
例えば、「端午の節句」は紀元前3世紀頃に古代中国で始まったとされるが、韓国は自国に伝わる「江陵端午祭」を無形文化遺産としてユネスコに申請。2005年に認められたため、中国が猛反発した。
中国四大発明の1つとされる「活版印刷」も、韓国人にいわせれば「ウリの発明」。1377年に印刷されたとされる金属活字本を「世界最古のもの」として世界記録遺産に申請し、これも2001年に認定されている。そもそも漢字についてさえ、韓国は「韓国人の祖先が作った」と主張する。
漢方薬も韓国では「韓医」と呼ぶ「ウリの伝統医学」だ。2009年、その医学書が世界記録遺産に登録された。あの手この手で権威づけ、既成事実を積み重ねるのが、韓国の常套手段のようだ。
歴史上の人物では、前出の孔子のほか、「老子」さらには「孫文」「三国志の曹操」まで韓国人とする主張も登場。さすがの中国人も、この厚かましさに辟易しているのだ。
※週刊ポスト2013年8月2日号