「今の六代目は三代目山口組の田岡一雄組長に心酔しておる。三代目時代にも発行していた新聞を踏襲したんやろね」(元幹部)
日本最大の暴力団組織・山口組が7月5日、「山口組新報」と題した機関紙を総本部(神戸市灘区)で組員に配布した。三代目体制で発行された、ヤクザ界初の機関誌「山口組時報」の休刊から、実に38年ぶりの新創刊である。
〈組員以外の閲覧、複写を禁ずる〉と書かれ、ベールに包まれた創刊号のコピーを本誌は入手。タブロイド判で全8ページ、発行元は〈六代目山口組総本部〉だ。
一面には司忍六代目山口組組長の和装の写真とともに、〈巻頭の辞〉が掲載されている。
〈我々は今こそ山口組の過去の成功体験を捨て去り、自分たちの存在価値を見つめ直し、今取り組むべき仕事は何かを真剣に考え、再出発すべきである〉
警視庁捜査関係者はいう。
「暴排条例で取り締まりが厳しくなる中、危機感を持っているのだろう。今回は500部程度が発行されたと見ている。印刷所などに迷惑がかからないよう最小限の部数にし、今後も定期的に発行するようだ。注視している」
暴力団の新聞なので、さぞ紙面もコワモテだろうと思われるが、意外なのは中面にある“趣味のページ”の充実ぶりだ。
例えば、組員から寄せられたと見られる俳句や川柳のコーナー。
〈走り梅雨 木々の緑も 色深め〉
〈この頃は 話も入れ歯も 噛み合わず〉
〈ゴミ出して 言う妻こそが 粗大ゴミ〉
続いて、〈初夏の三浦で「黒鯛」を狙う!〉と題した釣り特集。〈クロダイは非常に悪食な魚としても有名で、サナギやスイカ、コーンなどがエサとして使われている〉などと、魚の生態や仕掛けの方法が解説され、さらに、山口組の有力幹部が船上で大ぶりの黒鯛を釣り上げた際の記念写真がカラーで掲載されている。
※週刊ポスト2013年8月2日号