「足腰や膝が痛い、肩こりがひどい、疲れやすいといった症状を感じる人は、 “浮き指”かもしれません」
そう指摘するのは、40年間足の研究を重ね、10万人の足を見てきた桜美林大学教授・阿久根英昭さん。浮き指は「開帳足」ともいわれ、立っているときに足の指が浮いて床に着いていない状態や、床に着いていてもほとんど力が入っていない状態をいう。
「原因は3つ考えられます。ひとつは足の裏の筋肉(足底筋)の衰え。現代人はあまり歩かない生活を送っています。また、靴を履くと足指が機能しなくても歩けてしまうので、足底筋が鍛錬されない。すると、指のつけ根の筋肉も鍛えられず、指が浮いてしまうのです。
次に歩き方。現代人は足の外(小指)側ばかりを使って、ほとんど内(親指)側を使って歩いていません。これでは足底筋が衰え、立ち姿勢も不安定になります。
さらに、流行のつま先が細い靴を履くと、物理的に圧迫を受けるのでやはり足指が浮いてしまう。こうした要因から、現代女性のほぼ8割が浮き指なのです」(阿久根さん)
浮き指になると、体の“土台”が不安定になるため、余分な筋肉が緊張してしまい、足腰の痛みや疲れやすさにつながる。また、土台が不安定だと顔や首を前に出すことでバランスをとろうとするため、無意識に猫背になってしまい、肩こりや、内臓の圧迫から体の不調につながるというのだ。
今年4月、東京・表参道に開院した日本初の足の症状・疾病に特化したクリニック『足の診療所』には、2か月で1000人以上の患者が訪れた。院長・桑原靖さんも、女性の浮き指患者が多いと指摘する。
「患者さんの7割が女性です。女性は男性にくらべ、体の支持組織(組織や器官を結合させるもの)が柔らかく、体重のかかる足に負担がかかりやすい。浮き指などさまざまな症状が出やすいのです」
特に夏は、ヒールの高いサンダルなどを履く機会も多いが、これも浮き指を招く一因となっている。
「かかとの高い靴を履き続けると、背伸びをしている状態が続くのでアキレス腱が短く縮こまった状態になってしまう。それでヒールを脱ぐと、今度は急にアキレス腱が伸びることに。するとアキレス腱とつながっている指の筋肉も引っ張られ、足の指が浮いてしまう。ヒールが4cm以内であればそれほど心配はありませんが、それ以上高い靴を日常的に履くことはおすすめできません」(桑原さん)
※女性セブン2013年8月1日号