芸能

武田鉄矢 「不機嫌じいさんと苛立つばあさんは社会の迷惑」

 60代半ば、人生の折り返し地点を過ぎ、これからどう山を降りていけばいいのか──死をうけとめる練習帳として綴られた『大・大往生』が話題の鎌田實・諏訪中央病院名誉院長と、人生の午後の楽しみ方を指南した新著『西の窓辺へお行きなさい―「折り返す」という技術』の武田鉄矢氏が語り合った。

 * * *
武田:先生の本に幾人も登場する、鮮やかに人生を降りた人たちの静けさみたいなのっていうのは、世の中にはやっぱり偉いじいさんとばあさんがいますね。

鎌田:そうなんです。90歳に近いおばあちゃんが、もう限りがあるっていうのに、リハビリテーションを一生懸命するんです。無理しなくていいよと声をかけると、「どうしても梅干しを漬ける時期だ」と。自分が死んだあと、私を思い出してもらって、子供や孫たちに食べてもらいたい、今日より明日、ちょっとでもよくなってうちへ帰り、子供たちに何か残してあげたいと。

武田:本当にいい話ですな。つくづく思ったんですが、やっぱり人間っていうのは、自分のためだけに生きるっていうのはつまらないんですね、きっと。

鎌田:何かしてあげることの喜びを、人間って感じるんですよね。

武田:最近、ひとつだけ思っているのは、機嫌のいいじいさんになりたいということですね。やっぱり、不機嫌なじいさんとか、苛立つばあさんというのは、社会の迷惑ですよ。

鎌田:武田さんと鎌田は、そういうじいさんになれそうな気がしますね。

武田:頑張ってなりましょう! 機嫌のいいじいさん、よく笑うばあさんは国の宝ですよ。いいじいさんになろうと思って僕が考えてるのはゴミ拾いなんです。犬のウンチでも何でもね。ああいうゴミを拾うところから人間の顔立ちって、すっと変わっていくような気がして。先生、一緒にやりませんか?

鎌田:やりましょう!

※週刊ポスト2013年8月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン