日本ハム・大谷翔平の「二刀流」は投打ともに好調だが、長い野球の歴史の中で、二刀流の最大の成功者をご存じだろうか。野球の神様・ベーブ・ルースである。
「1914年、ルースは投手としてレッドソックスに入団しました。しかし元々打撃の才能も素晴らしく、1918年頃からは投げない日に打者として出場していた。二刀流のキャリアハイは、翌1919年。9勝5敗で防御率2.97。打率.322、本塁打29本。エースでホームラン王を獲得しています」(大リーグ研究家の福島良一氏)
日本では、8年間を投手兼任で通算65勝、16年間のキャリアで1137安打を放ち、唯一投手と打者でオールスターに出場した関根潤三氏の例がある。
「当時はまだ戦後の混乱期で選手層も薄く、どこでもできるヤツが使われた。肩には寿命があるので、衰えたら打者になればいいと考えていた。だから大谷君も、投手で頭打ちになったら打者に転向すればいいのかもしれない。
ただし、投手として壁にぶち当たり、それを乗り越えなければ一流にはなれない。僕もどうしてもシーズン20勝できず、16勝が最高だったからね」(関根氏)
野球ファンの夢を本当に実現してくれそうな逸材が、目の前に現われた。無理だ、不可能だといわず、何としても夢を追い求めてもらいたい。
※週刊ポスト2013年8月2日号