【マンガ紹介】
『人生讃歌』─能條純一 短編集─ 能條純一/小学館/840円
『ガラスの仮面(49)』美内すずえ/白泉社/420円
NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』、見ていらっしゃいますか? 私は毎日(基本は1日2回!)見ております。東京編に入り、アキちゃんが芸能界へと本格的に足を踏み入れていく姿が心配で、でもかわいくて、手に汗握っております。
芸能界ものは、マンガの得意分野。古今東西たくさんの名作が誕生しています。
能條純一『冬の花火』(原作・武論尊、『人生讃歌』〈小学館〉所収)は、[極道もの×芸能界もの]といった雰囲気の作品。
冬の街で座りこんでいた極道の安原に、自分のマフラーを渡した17才の少女・里香。その後、再会した彼女は「ゲーノージンになるんや!! それも超有名なシンガーや!!」と夢を語る。そんな里香のデビューに絡んで極道たちの思惑がうごめいていると知るや、安原は身を捨てて、里香のデビューを実現させる。
里香への気持ちは、恋愛という感情ではくくれない、男のピュアさと哀しみが宿っていて(あと安原がかっこよくて)胸がぐっと詰まるのでした。…とはいえ、『あまちゃん』の世界に慣れた身には、刺激が強すぎる芸能界の裏事情。なので、ワクワクするエンタメ作もセットで読んでおきましょう。
おなじみ、美内すずえ『ガラスの仮面』(白泉社)は現在は演劇ものの要素が強い展開ですが、芸能界ものの醍醐味を味わわせてくれる展開もありました。
国民的人気女優になった北島マヤを失脚させるため、さえない付き人としてマヤに近づいた乙部のりえ。舞台の前日、ただでさえ母を亡くしダメージを受けているマヤにコークハイを飲ませて暴走族のバイクに乗せ、初日舞台をすっぽかさせるのです。そして代役は、もちろん乙部のりえ!! その後、マヤの好敵手・亜弓さんによる、のりえへの正々堂々とした復讐劇が始まります!
マヤがつらい目に遭う→立ち上がる、の連鎖をずっと見ていたい、そう思わせる不朽の名作です。
この先『あまちゃん』でも陰謀からの復活劇、なんていうくだりがあるんでしょうか? 見たいような見たくないような…。
■文/門倉紫麻
※女性セブン2013年8月8日号