今年は様々な人や事象がメモリアルイヤーを迎えている。ファミコンが生誕30周年、大きな瞳の少女の絵が今でも人気のイラストレーター・中原惇一が生誕100周年、ポスト印象派の画家、ゴッホが生誕160周年を迎え、いずれも記念イベント等がおこなわれた。そしてこの夏、生誕80周年を迎える藤子・F・不二雄を記念した特別展が7月19日から10月6日の80日間、東京タワーで開催されている。
特別展を記念して7月18日から4日間だけ限定で、東京タワーが青・赤・黄を基調としたドラえもん色にライトアップされた。ライトアップ初日に点灯式でボタンを押したのは、アニメでドラミちゃんの声優をつとめるタレントの千秋さんと、子役の鈴木福くん、夢ちゃん兄妹。展望台周辺に鈴の明かりが浮かび、東京タワーが無事、首に鈴をつけたドラえもんに変身すると「(点灯ボタンを)ちゃんと押せてよかった」と福くんはホッとした様子。
東京タワーがドラえもん色に点灯したあと、千秋さん、福くん、夢ちゃんの3人が、一足先に体験した生誕80周年記念『藤子・F・不二雄展』について興奮気味に語ってくれた。
3人がそろって「すごかった」と語ったのはSF(すこしふしぎ)シアター。藤子・F・不二雄の仕事場をイメージした真っ白な部屋に入ると、原稿からドラえもんとのび太が飛び出し、一緒にタイムマシンで旅に出かけることができる。日本で初めての4Dプロジェクションマッピング映像を使った漫画のキャラクターとふれあえる体験は、福くんにとって衝撃的すぎて、うまく言葉にならず感想を擬音でしか表現できないほど。
「バーッとなって、ワーッてなって、ドーンってきて、すごい!」と数時間前に見たときの様子を臨場感たっぷりに話してくれた。一緒に体験してきた千秋さんも「“すこし”じゃなくて、“すごく”不思議だったよね。どうなってるんだろう?」と、驚きが去らないようだった。
そして千秋さんにとってSFシアターと同じくらい強く印象に残ったのは、藤子不二雄(A)氏と共同で高校時代に手書きでつくった自作冊子『少太陽』。数冊しか現存していないため、なかなか目にすることが出来ない貴重なものだ。
「藤子・F・不二雄先生の漫画はどれも大好きで、一番を選べないほど。そのすべての作品の源が、まだ先生が高校生だった頃につくった漫画にもう感じられて、とても感激しました」
『少太陽』の内容は今回が初公開。前期と後期で5月号と新年特大号の2冊を、1点ずつ交代で展示される予定だ。
パーマンが好きな福くんやドラミちゃんが好きな夢ちゃんと、『SF短編集』がお気に入りという千秋さん。3人とも生誕80周年記念「藤子・F・不二雄展」はとても楽しかったという。子どもから大人まで楽しめるこの特別展は、今年の夏休みの忘れられない一日を約束してくれそうだ。