中国の江沢民・元国家主席の孫に当たる江志成氏が共同経営者として名を連ねる香港の投資会社「博裕投資顧問」が年末までに15億ドル(約1500億円)もの多額の資金の調達を準備していることが分かった。香港の大富豪で、ビジネスリーダー的存在の李嘉誠(リ・カシン)長江実業グループ会長らも出資する予定で、太子党(高級幹部子弟)グループの露骨な金儲けに批判が高まりそうだ。ロイター通信などが報じた。
江志成氏は江沢民氏の長男、江綿恒・元中国科学院副院長の長男で、江沢民氏にとっては初孫に当たる。1986年生まれで現在27歳。ハーバード大学経済学部を卒業後、世界最大の大手投資銀行であるゴールドマン・サックスに入社し、ニューヨークのウォール街で金融取引を学んだ。
その後、香港の同社支店で経験を積み、2010年9月、香港で博裕投資顧問を創設、5人の共同経営者の1人として名を連ねている。
第1期の資金調達では10億ドルを集めたが、その出資者として李嘉誠氏ら香港の親中国系実業家のほか、中国の電子商取引大手アリババ・グループの最高経営責任者(CEO)、馬雲(ジャック・マー)氏も協力。今回の第2期についても、両氏の名前が伝えられている。
また、博裕投資顧問への資本出資を行なっているのが中国政府系の投資機関である中国投資有限責任公司や中国の国営銀行である中国国家開発銀行、さらに政府の中信資本(チャイナ・シティック・キャピタル)など超一流の金融機関だけに、まさに国家絡みといえる。
温家宝・元首相の長男の温雲松氏も香港で投資会社を立ち上げ、共同経営者の1人として、数百億ドルを荒稼ぎしたことで批判を受けたことから、国有企業の幹部に転身を図ったとの例もあり、ウェブ上では「最高指導者の親族の金儲けに国家が荷担している」と非難する声が高まっている。