メガバンクという巨大企業に生きるバブル入社組の融資課長の奮闘を描いた企業ドラマ『半沢直樹』(TBS系)が好調だ。視聴率は初回19.4%、第2話21.8%を記録し、夏ドラマの中では独走中。
原作は『下町ロケット』(小学館)で直木賞を受賞した池井戸潤氏の『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』(いずれも文春文庫)。どちらも全国の書店では品薄状態が続いている。
銀行員の半沢が資金繰りに困っている町工場などを回って、従業員たちの話に耳を傾けるシーンは胸が熱くなるが、実際のバンカーも帳簿ではなく、現場を見るのか? 金融ジャーナリストの伊藤歩氏がこう説明する。
「“帳簿が正しいと思うな”が銀行員の原理原則で、帳簿と実態が合っているか、そもそもこれから資金を貸そうとしている会社やその社長が実在するかどうかを見極めるためにも、現場を見るのは基本中の基本です。言い古された言い方ですが、トイレがきれいかどうかはバロメーターになったりする。会社に行けば、荒廃しているか、活気があるか雰囲気でわかります」
それは地方銀行でも同様で、現役の銀行員のA子さんもこう証言する。
「経営者がどんな車に乗っているか、応接室のソファはどんなものかは、その会社の状況を判断する材料になります。また例えば、私の融資先には和菓子店がありますが、その和菓子の味をチェックするのも判断材料になっていますね」
※女性セブン2013年8月8日号