大正11年(1922年)に『小学五年生』『小学六年生』が創刊されて以来、いつも日本の子供の側には学習雑誌があった。ページを開く時の高揚感や、「やまおり」「たにおり」に悪戦苦闘しながら付録を作り上げた時の喜びを、いまも覚えているという人は多いのではないだろうか。
そんな懐かしい記憶にこの夏、再会できるのが、芦屋市立美術博物館で開催中の「学習雑誌にみるこどもの歴史──90年間のタイムカプセル──」だ。
同展では、大正11年~平成25年に発売された学習雑誌が各年1冊ずつ展示されている。また、写真の「光る太陽の塔」「組み立て万博大パノラマ」のほか、「デラックス大くみたて東京タワー」といった付録、同館が所蔵する玩具なども併せて見ることができる。
「学習雑誌の表紙は、戦前から戦時中、そして現代に至る子どもの教育や生活の移り変わりを伝える貴重な歴史的資料です。また、付録や玩具からは当時の娯楽を知ることができます。祖父母から孫まで、世代を超えて楽しんでもらえると思います」(同館学芸員・藤井康憲氏)
正に“時代の象徴”ともいえる学習雑誌と付録の世界。同展で少年時代へとタイムスリップすれば、時間や仕事に追われる日々の中で忘れかけていた純粋な気持ちを思い返すことができるだろう。
■「学習雑誌にみるこどもの歴史──90年間のタイムカプセル──」は、芦屋市立美術博物館で8月18日(日)まで開催中 ※休館日:月曜日、観覧料:一般500円、大高生300円、中学生以下無料。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2013年8月9日号