衆院選に続き参院選でも大敗を喫し、党存続の危機に瀕する民主党。確かにもう手遅れかもしれない。ムダかもしれない。しかしここまで堕ちたならダメ元で劇的な再建策を提示し、今一度国民にアピールしてはどうだろうか。
民主党フォロワーでなく、企業経営やM&Aなどを専門とする事業再生コンサルタントの喜多洲山氏の意見を聞こう。
「企業が再生する際に最も必要なものは2つ。1つは負債額調査など“現状認識”。民主党の場合は、自らの失敗の原因を外部の有識者から客観的に評価してもらう必要がある。もう1つは社員全員が同じ旗印・目標を向いて努力すること。政党であれば、確固たる綱領を立てて、それに向かって一丸となれるメンバーが集結することです」
それを実現するには、強烈なリーダーシップがいる。喜多氏が「最も適した人材」として推すのが、JALの再生を成し遂げ、民主党の支援者でもあった稲盛和夫氏だ。
「もともと官僚的な組織だったJALの会長に稲盛さんが座って、“アメーバ経営”といわれる徹底的な収益管理を行なった。その上で“会社を残すために頑張ろう”と、社員の意志を統一したわけです。稲盛さんクラスの経営者であれば、今の民主党を立て直すことも不可能ではないかもしれない」
JALといえば、大幅な賃金カットを行なったことも記憶に新しい。民主党の国会議員たちがそろって歳費の返上を申し出れば、国民にも相当なインパクトを与えるだろう。
かつて民主党による政権交代を支持してきた後房雄・名古屋大学法学部教授(政治学)もいう。
「“現状認識”という観点からいえば、民主党は政権与党時代の失敗の原因究明を徹底的に行なう必要がある。内輪による究明ではなく、原発事故で国会事故調などが実施したような、外部の専門家による究明が必要です。当然、小沢一郎氏のように民主党から出ていった人の話も聞く必要がある。
岡田克也幹事長の時代、民主党は党の資金の支出を抑えたことで、今でも相当の資金を抱え込んでいる。その資金を今こそこの原因究明のために使うべきです。民主党が参院選前にやった『反省会』のような小手先のものでは国民は納得しない」
※週刊ポスト2013年8月9日号