東日本大震災の被災地、宮城・石巻市は、コラムニストの木村和久さんが高校卒業までを過ごした地。観光客の姿も戻ってきた石巻ですが、木村さんにはとっておきの海水浴場があるといいます。
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石巻が誇る、もっとも波がおだやかで透明度抜群の海水浴場、それは網地島にある網地白浜海水浴場です。だいたい白浜という名前が入るビーチは、どこもきれいですが、特に網地白浜は離れた島にありますから、ほんと沖縄ぐらいきれいです。
行き方ですが、石巻の旧北上川河口にある乗船場から、三浦みつる先生の人魚のイラストが描かれてあるマーメイド号に乗り、1時間ちょっとで到着です。12時の便だと、東京から朝に出ても充分間に合います。
いざ出発じゃ~と船のデッキで旅情を満喫しているや、どこからともなくウミネコの大群がやって来ました。お客さんが、スナック菓子を放り投げて、それをエアーキャッチしているのです。松島や石巻の観光船のお約束のイベント、ウミネコのおやつあげです。慣れたウミネコは手を伸ばすや、くちばしで受け取りますから。船に乗った時のアトラクションとして、実に面白いです。乗船前にスナック菓子は揃えておきましょう。
小さな網地の港に着くや、すぐ目の前に開けているのが白浜ビーチです。行ってびっくりするのは、恐ろしく波がないことです。それが証拠に、行った日はシーカヤックの講習会をやっていました。このカヌーのような乗り物は、初心者にとって横波がやっかい。これを海でできるんですから、いかにおだやかなビーチかってことですよね。
この白浜、実は島の裏側、つまり津波の進行方向と逆に位置していたので、被害が軽く済んだのです。地盤沈下も少なく、いち早く再開にこぎつけました。
ビーチの入り口には、大きな外国人の像があり、誰だろうと見るや、あのベーリング海峡で有名なベーリングの銅像でした。なんでも交易と調査目的で、10日ほど網地島に滞在したそうです。ほかトイレやシャワーなども完備し、ちょっと歩けば民宿やカフェなどもあり、周辺環境は抜群です。今度ゆっくりと遊びに来たいですね。
※女性セブン2013年8月15日号