アンジェリーナ・ジョリーが、乳がん予防のために乳房切除・再建手術を行ったことが話題になったが、アンジーに限らず多くの女性がバストに関するさまざまな悩みを抱えている。そうした悩みについて、バスト専門『ナグモクリニック』の総院長で、乳腺専門医であり形成外科医でもある南雲吉則氏が、7月30日に発売された最新著書『おっぱいバイブル』(小学館)の中で解説している。バストの役割や大きさについても詳しく綴り、バストの大小が遺伝で決まるという説についても見解を示しているが、よくいわれるこの“バストサイズ遺伝説”の真偽のほどは? 以下は南雲氏の解説だ。
* * *
みなさんは、母性、そして女性の象徴でもあるバストの中に、何が詰まっているか知っていますか? 形や大きさばかりが気になって、バスト本来の役割や仕組みについて考えたことがない人も多いのではないでしょうか。健康できれいなバストを保つためにも、最初に、バストの構造や役割についてお話ししましょう。
女性のバストの大きさは、乳腺と、乳腺を守る皮下脂肪の量によって決まります。痩せている人は乳腺の割合が多く、太っている人は脂肪の割合が多くなります。太っても乳腺が増えることはなく、皮下脂肪が増えるだけです。
一方、授乳や老化で乳腺の量は少なくなり、しぼみます。これを、「萎縮」といいます。バストの硬さは乳腺によるものです。乳腺が発達している若い女性のバストの触り心地は、青りんごにたとえられるほどにコリコリとしていますが、それが柔らかくなるのは、加齢によって乳腺がしぼみ、脂肪がつくからです。
よく「バストの大小は遺伝」といわれる通り、確かに遺伝的要素もあります。成長期にどんなに栄養を摂ってもバストが大きくならないのは、親からの遺伝的素因が大きいでしょう。母親のバストが大きいのに自分が小さいならば、父方の遺伝によるかもしれません。
しかし、それだけではなく、成長期においては、食事や運動習慣などの生活環境や、女性ホルモンの分泌量も関係します。過度なダイエットや偏食により栄養失調をきたしたり、無月経になったりすれば、バストの成長も悪くなります。
バストの役割についてもお話ししましょう。これは、なんといっても赤ちゃんのために母乳を作り与えることです。そして、男性を引きつけるためのセックスシンボルとしての機能もあります。女性にとっても、男性にとっても赤ちゃんにとっても、バストは大きな存在なんですね。