投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、8月5日~8月9日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、7~8日に開催される日本銀行金融政策決定会合で、日本版「長期資金供給オペ(LTRO)」などの追加緩和策が打ち出されるか否か、日本の経常収支、貿易収支、資本収支での需給を見極める展開が予想される。
8月は、ネガティブ・サプライズに襲われがちな月であることで要警戒か。8月の危機は、1993年、欧州為替相場メカニズム(ERM)が崩壊、1998年、ロシアがデフォルト(債務不履行)宣言、2007年、パリバショックによりサブプライム問題が発覚、2011年、米国債格下げ。
【日本銀行金融政策決定会合】(7~8日)
日本銀行金融政策決定会合では、日本版「長期資金供給オペ(LTRO)」などの追加緩和策が打ち出されるか否かを見極める展開となる。東京株式市場やドル・円相場は、上値は重いものの底堅く推移していること、日本のコア消費者物価指数がプラスに転換していることで、現状の金融政策が維持される見通しとなっている。
【日本の6月経常収支と7月上中旬貿易収支】(8日)
日本の6月の経常収支は、4000億円の経常黒字が予想されており、5ヶ月連続で経常黒字を記録した場合、円売り圧力がやや緩和することになる。日本の7月上旬の貿易収支は、5903.74億円の貿易赤字を記録している。上中旬の貿易赤字が拡大していた場合は、円売り要因となる。
【対外債券投資】(8日)
本邦機関投資家による対外債券投資は、7月に入り増加し始めており、7月は2兆9177億円の買い越しとなっている。黒田日銀総裁が目論むように、日本国債売却、外国債購入のポートフォリオ・リバランスが継続しているか否かを見極める展開となる。
8月5日~9日に発表される主要経済指標のポイントは次の通り。
○(米)7月ISM非製造業景況指数- 5日(月)日本時間午後11時発表
・予想は、53.0
参考指標となる同指標の6月内訳で、先行性のある「新規受注」DIは50.8←5月56.0と大幅鈍化。また、「在庫」DIは上昇、「受注残」DIは50を上回っており、上昇。新規受注がさえなかったことを考慮すると、コンセンサスは妥当か。
○(米)6月貿易収支- 6日(火)日本時間午後9時30分発表
・予想は、-440億ドル
6月ISM製造業の内訳「輸出受注」DIは54.5←5月51.0、「輸入」DIは56.0←同54.5で、輸出と輸入はいずれも上昇した。6月原油価格は、やや上昇し、赤字拡大要因。輸出増加を考慮すれば、5月450億ドルの赤字からは赤字幅が多少縮小する公算。
○(日)6月経常収支- 8日(目)午前8時50分発表
・予想は、+4000億円
6月貿易収支は1808億円の赤字となったことで、経常収支にはマイナス要因。ただし、貿易赤字幅は5月の9981億円との比較で大幅に縮小している。世界経済の成長鈍化への懸念は消えていないが、6月の経常黒字額は5月実績を上回る見込み。
○(米)6月卸売在庫- 8月9日(金)日本時間午後11時発表
・予想は、+0.4%
参考指標となる5月の卸売在庫は前月比-0.5%の大幅減となった。卸売在庫の減少は2カ月連続。短期間で在庫率が大幅に上昇する可能性は低いとみられており、コンセンサスは妥当な水準か。
主な発表予定は、6日(火):(日)6月景気先行・一致指数、8日(木):(日)7月景気ウォッチャー調査、(米)6月消費者信用残高
【予想レンジ】
・ドル・円96円00銭~101円00銭