中国の元重慶市トップで党政治局員でもあった薄熙来氏の裁判が近く開廷するとみられるが、その裁判に妻で殺人罪などで執行猶予付き死刑判決を受けた谷開来・受刑囚や、懲役15年の刑が確定している王立軍・元重慶市副市長が承認として出廷することが分かった。中国指導部内では、太子党(高級幹部師弟)勢力を中心に薄氏を庇う動きがあることから、薄氏の極めて近い妻や元部下を証言させることで、薄氏を極刑に追い込もうと狙いがあるようだ。
中国情報専門サイトの「博訊(ボシュン)」が伝えたもので、薄氏は昨年4月に「重大な規律違反」ですべての共産党職の停止を受けてから、約1年半を経て、ようやく裁判が開かれることになる。
博訊によると、薄氏は2000万元(約3億2000万円)の収賄、約500万元(約8000万円)の横領と職権乱用の3つの容疑で裁かれる。
焦点は薄氏が妻の谷受刑者の犯した英国人殺害を知っていたのか。知っていた場合、重慶市トップとしての職権を使って、そのもみ消し工作に関与したかだ。
仮に、薄氏が間接的にせよ、殺人に関わっていたとすると、他の収賄と横領の罪と合わせて、谷受刑者と同じく執行猶予付きの死刑判決が下される可能性が強い。
党政治局員という党の最高幹部を務めて、死刑判決が下されれば、毛沢東主席の妻、江青女史以来2人目となるだけに、極めて重い量刑といわざるをえない。
この時期の裁判の開廷については、同じ太子党勢力の習近平国家主席の意向が強く働いているとみられる。8月の第2週にも党長老や現役の党指導部が河北省の避暑地・北戴河に集まるとされており、習氏としては、その前に薄熙来氏をめぐる問題について一定の区切りを付けたいとの思いが強いようだ。
北京の共産党筋は「薄氏の妻や元部下を証人として出廷させ、薄氏の殺人事件の関与を証明し、文句なしに極刑に追い込み、自らの政治基盤を固めるというシナリオを習主席は描いているのではないか」と指摘する。