ビジネス

「祖父母4人に孫1人」型家族が増加し「孫投資」に注意点も

 孫の教育資金の贈与税が1500万円まで非課税になる「教育資金贈与信託」が大人気となり、祖父母から孫へ資産を相続する「孫投資」がブームになりつつあるが、注意点も存在する。

 祖父と孫の関係の特殊性は、「孫の父親は1人だが、祖父は2人いる」という点にある。つまり「父方の祖父」と「母方の祖父」だが、血縁的には“赤の他人”の2人の関係が孫投資においては重要なファクターになるのだ。

 少子化や非婚化が進む中で「祖父母4人に孫1人」という逆ピラミッド型家族が増えており、貴重な〈宝もの〉をジジババで取り合う構図が生まれている。

「夫の実家が娘の七五三の着物を買ってくれたが、それを知った自分の母親が、“私の選んだ着物を着させてほしい”と持ってきた。どちらか一方を選ぶわけにもいかないので、結局、娘を着替えさせて2種類の写真を撮ってきました」(30代の主婦)

 バカバカしい話ではあるが、この金額が大きくなる「孫投資」では、単なる“爺バカ”では済まなくなる。

 たとえば「教育資金贈与信託」では、贈与額の基準は受益者(孫)。1人の孫に1500万円という上限枠があるため、父方の祖父が上限枠一杯の贈与をして節税した場合、母方の祖父は同じことができない。節税のキーパーソンとなる「孫」を、父方の祖父が独占してしまうことになる。

 もちろん、「自分の実家に息子の教育費の援助を頼んだら、“お前の嫁の実家のほうが裕福だから、そっちに頼んだらどうか”と断わられた。それを妻に話したら、“冗談じゃない。そんなの頼めない”と一蹴されてしまいました」(30代サラリーマン)という逆パターンもあるが、いずれにしても、

「お孫さんへの資金援助にあたっては、ご実家同士の“調整”が必要です。冠婚葬祭の時以外にご夫婦の親御さんが顔を合わせる機会は少ないと思いますが、第2世代が連絡役となって、それぞれのご両家にきちんと報告しておくことを勧めます」(信託銀行営業担当者)

“孫には何でもしてあげたい”という気持ちは分かるが、祖父がいくら「父親代わり」に孫に愛情とお金を注いでも、決して「本物の父親」にはなれない。〈可愛い孫〉への投資の際は、孫はもちろん、その父親である息子、その兄弟、さらには息子の妻の実家まで、広い気配りを忘れないようにしたい。それが「孫投資」の重要な第一歩なのだ。

※週刊ポスト2013年8月16・23日号

関連キーワード

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン