例年、夏場になると最下位が定位置になっている横浜DeNAベイスターズだが、今年は違う。8月に入っても、クライマックスシリーズ進出をかけた3位争いを繰り広げている。躍進の原動力は、厚みを増した打線だろう。総得点418はリーグトップ。チーム打率.262も巨人に次いで2位につけている(8月7日時点)。
4番のトニ・ブランコ(32)が開幕から絶好調。そのウラには、5番に控える中村紀洋(40)の存在が大きかった。巧みなバットコントロールと無類の勝負強さで、ブランコが歩かされても、中村ノリがタイムリーを放つ。すると、相手もブランコと勝負せざるをえなくなる。中村ノリが打つことで、ブランコはフラストレーションを最小限に抑えることができ、そのおかげで、打線が好循環に入ったまま、夏を迎えた。
ところが、これまで好調だった中村ノリが、7月から徐々に当たりが止まっている。6月終了時点で3割1分4厘の打率が、7月最後の試合でついに3割を切った。8月に入っても、シーズン序盤の当たりは鳴りを潜めている。
7月に40歳を迎えた中村ノリだけに、1シーズンを乗り切るスタミナ面が心配される。事実、ベテランと呼べる35歳になった2008年からの8月以降の成績は以下の通りだ。
年(所属)/打率/打数/安打/本塁打/打点
2008年(中日) /.250/148/37/5/16
2009年(楽天) /.000/2/0/0/0
2010年(楽天) /.228/123/28/2/14
2011年(横浜) /.241/58/14/0/9
2012年(DeNA)/.252/143/36/3/16
もっとも打率がよかったのが、昨年の2割5分2厘。後半に入ると、どうも調子を落としているのだ。昨年は、8月だけに限ってみれば3割7分2厘の高打率を残している。
しかし、同年8月15日に自打席中に二盗を決めた内村賢介(27)に怒りを爆発させたことが、首脳陣に“采配批判”と受け止められ、登録抹消。9月に復帰したが、それ以降は、打率2割、1本塁打と打撃は低迷した。あるスポーツライターはこう語る。
「2008年の中日時代は4月に2度目のFA権を取得。『FAには興味がない。使いみち? 何度もいうけど興味がないですね』とコメントしながら、オフにまさかのFA宣言。オリックスを解雇され、所属球団がないところを拾ってもらった落合(博満)監督の元から易々と移籍したのは、誰もが驚きを隠せませんでした。
2010年の楽天時代には、シーズン後半になると、“デカい態度”が問題となり、クビを切られるほどの成績ではなかったにもかかわらず、解雇されています。
ここ数年の中村ノリを見ていると、シーズン前半に活躍すると、後半に気持ちが大きくなってしまう傾向があるようです。昨年こそ、中畑(清)監督が上手く手綱を締めたことで、今年の活躍につながっている。さすがのノリさんも、同じような過ちは犯さないと思いますが……」(スポーツライター)
現在のDeNAにおいて、中村ノリの打棒は不可欠。ノリの活躍が、DeNAのクライマックスシリーズ進出を左右するだろう。