国際情報

韓中接近で「日本は北朝鮮取り込む」くらいの発想あっていい

 黒田勝弘氏は1941年生まれの産経新聞ソウル駐在特別記者。著者に『韓国人の歴史観』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ刊)がある。黒田氏が韓国国内の動きについてリポートする。

 * * *
 このところ韓中は、北朝鮮を国際舞台に引き出すための「改革・開放プレッシャー」を与え続けているが、これに金正恩はどう出るのか。

 中国が圧力を加えようとすれば、歴史的に見て、北朝鮮は「孤立回避」のため必ず中国以外の勢力に色目を使い始める。不安からバランスを取ろうとするのだ。

 このところ目につく米国や日本、そして韓国への対話攻勢がそうだ。北朝鮮としては中国を牽制し、中国に対し自らの価値を上げたい。先の「飯島勲内閣官房参与訪朝受け入れ」という対日接近も、北朝鮮の不安心理の表われとみていい。

 相手の弱みにつけ込むという意味で、日本としてはこの状況を利用しない手はない。

 その場合、どうつけ込むか。小泉政権時代に日朝首脳会談で拉致問題に一定の成果を得たのは、当時、経済困窮という弱みを抱えた金正日が、日朝国交正常化による日本からの経済支援をあてにして、焦ったからだ。

 あの時は結果的に金正日の読み違いで、日本に人質を奪い返された上に日本国民の反北朝鮮感情を高めるだけに終わった。北朝鮮にとっては痛い教訓になったに違いないが、逆に日本としてはこの経験を念頭に平壌につけ込む余地が十分ある。

 韓中が接近したからといって「日本外し」などといじける必要はない。「それなら日本は北朝鮮を取り込むか」くらいの発想があっていい。韓国の対中接近でも分かるようにこの地の民族は“力”に弱い。参院選の結果、力をつけた安倍政権なら北朝鮮を取り込めるかもしれない。

※SAPIO2013年9月号

関連記事

トピックス

中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
【独自】「弟がやったことだと思えない…」中居正広氏“最愛の実兄”が独白30分 中居氏が語っていた「僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい」
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新田恵利(左)と渡辺美奈代があの頃の思い出を振り返る
新田恵利×渡辺美奈代「おニャン子クラブ40周年」記念対談 新田「文化祭と体育祭を混ぜたような感覚でひたすら楽しかった」、渡辺「ツアーも修学旅行みたいなノリ」
週刊ポスト
放送時間を拡大しているフジテレビの『めざましテレビ』(番組公式HPより)
日テレ『ZIP!』とフジ『めざまし』、朝の“8時またぎ”をめぐるバトルがスタート!早くも見えた戦略の違い
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
公的年金は「社会的扶養」「国民の共同連帯」「所得再分配機能」(写真提供/イメージマート)
《まるで借りパク》政府の基礎年金(国民年金)の底上げ案 財源として厚生年金を流用するのは「目的外使用」ではないのか、受給額が年間8万円以上減額も
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン