この夏ブームの炭酸水。ダイエットその他に効果があるという。そのメカニズムを食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。
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強烈な猛暑に襲われた今夏の日本列島では、「夏の酒」が好調だ。居酒屋ではハイボール、バーでは夏の定番となったカクテル「モヒート」などの炭酸入りアルコールカクテルが大人気。今年はビールの売上も好調で、国内ビール会社の売上高は続々と過去最高を更新したという。
新しいトレンドとしては、本格焼酎(乙類)でも「炭酸割り」の人気が高くなっていることだ。「いいちこ」や最近人気の「キンミヤ焼酎」などの甲類とは異なり、これまでロックや水割りで飲まれてきた乙類も「ソーダ割り」「炭酸割り」で飲む人が増えてきている。喉ごしのよさに加えて、独特の芳醇な香りが炭酸で割ると洗練された味わいに変化する。好き嫌いがハッキリしがちな芋焼酎などは、キリリと冷やした炭酸水で割ると味も引き締まる。持ち前の芳醇な香りのなかから、フルーティな香りだけが際立つ印象だ。
実はこの炭酸水、この数年美容・健康面からで女性から熱烈な支持を集めている。最近では女性誌や健康雑誌で「炭酸水」を切り口にした、アンチエイジング/ダイエット特集が組まれるほどだ。この数年で書籍も何冊か発行されている。そのうちの一冊から、炭酸水の効果を。
<炭酸水のうれしい効果は5つもあります。1.体重をへらすダイエット効果 2.便秘を解消してウエストを細くする効果 3.リバウンドを防ぐ代謝アップ効果 4.若さを保つアンチエイジング効果 5.健康美をイメージづける美肌効果>(『「炭酸水」飲むだけダイエット』マキノ出版/監修:平石貴久)
本稿のスペースではすべてを紹介できないが、例えば「代謝アップ効果」のメカニズムは次の通りだ。炭酸を摂取すると血中に二酸化炭素が入る。すると、酸素を求めて血管が広がり、血流が改善される。健康系の雑誌なら、血圧降下や動脈硬化、心疾患にも効果が期待できるという切り口になるし、女性誌ならば「血行が促進され、美肌に!」となるわけだ。ダイエットにしても、単に炭酸でお腹が膨れてダイエットにつながるというだけの話ではない(もちろん、それもあるが)。
この他にも「炭酸水の爽快感が脳のストレスホルモンを除去する」、「体のph(ペーハー)を調整する」など、さまざまな効果が期待できるという炭酸水。「尿酸結石の再発予防効果」「胃および十二指腸におけるアルカリ分泌促進」など国内外でさまざまなテーマの論文が発表されている。
ただし、天然の炭酸水には硬度が高いものもあり、腹の調子に差しさわりがある可能性も。また、キンと冷えたものばかりでは「冷え」につながる人もいる。そして言うまでもないが、「芋のソーダ割り!」のようなアルコール入り炭酸水は「健康にいいから」とジョッキでがぶがぶ飲めばいいというものではない。酒は酔うためにある。