中国の習近平・国家主席の妻、彭麗媛さんが米月刊誌「バニティ・フェア」(7月31日発売)の毎年恒例企画「世界のベストドレッサーリスト」に選ばれた。中国人女性としては中国国民党の蒋介石総統夫人、宋美齢さん以来70年ぶり。
日ごろは硬派の国際関係ニュースしか載せない中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」紙は米国のファーストレディ、ミシェル・オバマさんが選に漏れたことにわざわざ触れて、「彭麗媛さんは優雅で物静かな雰囲気を持ち合わせている。
これこそバニティ・フェアがミシェル夫人ではなく、彭夫人をベストドレッサーに選出した理由だ」と鬼の首を取ったような大はしゃぎぶり。米国への対抗心をむき出しにした同紙の報道にネット上では「大人げない」との声も出ている。
順位をつけない形で発表された今年のベストドレッサーには彭麗媛さん以外にも、7月下旬に男児を出産したばかりの英国のキャサリン妃のほか、米女優のケリー・ワシントンさんや米歌手のビヨンセさんらが選ばれた。
ところが、環球時報の記事は入選した彭麗媛さんと“落選”したミシェルさんの比較や違いを強調。彭麗媛さんのファッションセンスのほか、世界保健機関(WHO)のエイズ予防親善大使を務めるなど、ファーストレディであるばかりでなく国際的にも社会貢献をしている点を挙げる一方で、ミシェルさんはファーストレディの役割しか果たしていないと指摘。
さらに、ファーストレディはとかく傲慢だとみられがちだが、彭麗媛さんは広東省広州市の地元ブランドを愛用するなど質素で実用的であり、優雅で物静かだと称賛。その一方で、同紙は米ニュースサイト「デイリー・ビースト」の報道を引用して「ミシェルさんはここ数年、初めて登場したときと比べて冒険心がなくなり、数種類の服を着回すなどファッションもおざなり。最初の初々しさが失われ、ファーストレディであることをひけらかすような傲慢な態度も鼻についてきた」との論評を紹介している。
えげつないまでの同紙の報道ぶりだが、アンケート調査で読者の1317人が「嬉しい」を選んでいるものの、「別に何とも思わない」が359人、「笑える」が100人と、いわば白けている読者が459人に達した。中国人女性の70年ぶりの“快挙”を素直に喜べないのも、「夫の習主席の不人気が原因になっているのでは」と北京市民がうわさしているという。