プロ注目選手たちの甲子園でのプレーはスカウトにどう映っただろうか。成績とスカウトの感想をお届けする。(取材・文=フリーライター・神田憲行)
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夏の高校野球、甲子園のバックネット裏に集結する男たち、それがプロ野球団のスカウトだ。サングラスをかけ、注目投手が現れると鞄からスピードガンを出して球速を測る。ときには他球団のスカウトとも談笑しながらも、その視線はグラウンドから離れることはない。
彼らは全出場校が甲子園で初戦を戦ったのを見届けて姿を消す。そこでプロ注目選手たちの初戦の成績を紹介しよう。
スカウトに「さすが」と言わしめたのが、大阪桐蔭の森友哉捕手。レフト、ライトにホームラン二発を打って「世代最強捕手」としての看板を証明した。同じく常総学院の内田靖人もバックスクリーン左にホームラン。ちなみに2戦目では捕手として、座ったまま二塁に牽制球を投げて強肩ぶりもアピールした。仙台育英のショート熊谷敬宥はサヨナラ打を含む4安打を放ち勝負強さをアピール、しばしば好守も披露した。
投手では敗れたが、瀬戸内の山岡泰輔投手がストレート、スライダーのキレは評価通りのものを見せた。対戦相手の明徳義塾・岸潤一郎投手も2年生ながら見事な投球を披露。スカウトにとって見所の多い一戦になったのではないか。「大会随一の右腕」と評される済美の安樂智大投手は試合は危なかったものの、甲子園タイ記録の155キロをマーク。2年生として大気の片鱗を見せた。
一方、仙台育英の上林誠知選手は、浦和学院との大熱戦のなかで、4番ながら5タコの3三振。主役になった遊撃手熊谷と明暗が分かれる結果になってしまった。もうひとりの注目選手、選抜の優勝投手である浦和学院のエース小島和和哉も心配になるほどの大乱調、まだ2年生だけに復活が待たれる。
彼らの姿はスカウトにどう映ったのだろうか。そもそも選手を1年生からずっと追いかけているスカウトが甲子園に姿を見せるのは、最終チェックと自分の担当地域外の選手を見ることだ。パ球団のあるスカウトは、
「選手の評価は甲子園の前でだいたい固まっている。だから仙台育英の上林があの1試合で打てなかったからといっても、今までさんざん打ってきたわけだから、評価が下がるとは思えない」
一方で、
「ただドラフト上位で考えているA選手と下位で考えているB選手を比較して、Aが結果を出してBが出していないとなると、その差の評価もやはり動かない」
そして、このスカウトが注目するのは初戦以外にもう1回ある。
「決勝戦です。決勝ばかりはその選手の『勝ち運』とか『勝負運』をうらなう重要な戦いになる。決勝戦でのプレーは気になる」
決勝の予定は22日、熱い1日となる。