スポーツ

球団再建の第一歩は「選手集めることではない」と岡田彰布氏

 昨年、休刊してからも根強いファンを持つ野球雑誌『野球小僧』(白夜書房)。名物企画「俺に訊くな!」は一芸に秀でたプロ野球選手に、得意分野とは真逆の質問を投げ掛ける、それまでにない面白い野球記事だった。リスペクトを込めてここに企画を復活させて頂き、昨シーズンまで監督を務めていた岡田彰布氏(55)に「弱小球団の再建法」を聞いた。

 現役時代、猛虎打線の中核を担った岡田氏は指導者としても一流だった。二軍監督などを歴任し、2004年に一軍監督に就任するや、2005年にはリーグ優勝。だが、オリックスの再建を託された3年間は5位、4位、6位と低迷した。“敗軍の将”となった岡田氏に「弱小球団の再建法」を聞くと、しばしの沈黙が訪れた。そして──。

「勝てへんのには理由があるんよ。オリックスでは選手の特性を把握できていなかったことが大きい。(阪神と違って)外から見ていただけやからね。1年目はコーチをほとんど残して選手の力量を把握することから始めたんよ。でもコーチが戦力分析はおろかチームの弱点も把握できていなかった。キャンプで自分の目で見たけど、そらキャンプ練習と実戦とでは違うわな」

 再建の第一歩は「選手を集めることではなく、選手の特性を知ること」だと岡田氏は熱弁を振るう。しかし、オリックスは岡田氏が監督になる前の10年間のうち9年間がBクラス。監督、コーチも毎年のように交代していた。選手の特性をフロントとして蓄積することができなかったのだ。

「負けているチームはチーム内部で選手を育てようとせずに外部からの補強に走る。オリックスはとくにそう。シーズン中もめちゃくちゃトレードしたからな。入れ替えも大切だけど、それじゃなかなか機能しない。それは監督が選手を理解するには時間がかかるからや。それでも3年目は優勝争いできるゆうとこまで選手を鍛えたんやけどいざ勝負ゆう時に、主力にケガが続いてな。まぁしゃあないわな」

 岡田氏、おおいにボヤく。しかしその口ぶりからは現場復帰への意欲も窺えた。

「次はチームの戦力を見極めたいな。その上で、勝つためにどんな野球をすればいいかを考えたいね。選手集めるよりチームに合った野球を探るほうが、指揮官としては醍醐味があるんよ」

 では、また弱小球団でもいいの?

「そらそうよ」

※週刊ポスト2013年8月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト