食糧難が続く北朝鮮だが、現在でも金正恩第一書記の命によって、多くの金正日像が製作されているが、はたしてどれほどの費用がかかっているのだろうか。新刊『北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか』(小学館)を上梓したばかりのジャーナリスト・惠谷治(えや・おさむ)氏が解説する。
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私が確認した限り、金正日死後に製作された金正日像は8体ある。とはいえ、厳しい財政事情のなかで、こうした銅像を製作・改修するのも容易なことではない。いったい、いくらかかっているのだろうか。
「北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋が、12月4日に語ったところによると、北朝鮮が4月に平壌・万寿台の丘に造った金正日の銅像の製作費に1000万ドル(約10億円)を費やした。北朝鮮はその後、国家安全保衛部、人民武力部、江界市などに計7体(引用者注/当時)の金正日の銅像を建てた。銅像の建立費だけでも5000万ドル(約50億円)を要したと推定されている」(2012年12月5日付朝鮮日報)
この記事の費用には、万寿台の丘の金正日像の改修費や、2013年2月16日に建立された万景台革命学院の父子像の制作費は含まれておらず、今後新たに製作される銅像建設費を考えると、1億ドル(約100億円)近くに達することだけは確かである。
財政が逼迫しているにもかかわらず、厖大な費用をかけて金日成・金正日の父子像を各地に建立し続けているのはなぜなのか。それは、ひとえに親孝行ぶりをアピールし、“金氏朝鮮”3代目を世襲した金正恩の正統性を強調するためにほかならない。
※惠谷治著/『北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか』より