北朝鮮が今年6月、朝鮮労働党の「党の唯一思想体系確立の十大原則」を39年ぶりに改定し、金正恩第1書記ら金ファミリーによる世襲政治を明文化したとの報道について、中国のネット上ではわずか1日で7万件もヒットするなど、激しい反発を生んでいる。中国情報専門のニュースサイト「多維新聞網」が報じた。
報道によると、この「十大原則」の改定では、「プロレタリア独裁政権」との文言を削除し、金日成主席が確立した主体思想を背景にした「主体革命の業績」を強調するなど、共産主義の看板を下ろし、金ファミリーによる国家統治を強調している。
これに対して、中国のネット上では 「文化大革命などで数千万を殺した毛沢東ですら、自分の息子を後継者にしなかった。毛沢東は秦の始皇帝のような皇帝だったが、さすがに共産主義者としての矜恃を保った」などと金第一書記を非難する書き込みが寄せられている。
一方では、一見すると世襲制を称賛するような書き込みもみられる。
「金正恩こそが秦の始皇帝の生まれ変わりであり、共産主義独裁を主張したマルクス、レーニン同志の祝福を受けるであろう」
このように、皮肉っぽく“称賛”するとみせて、「さすがに、封建制の血のDNAは水よりも濃いということを証明している。中国は中国式社会主義の道を歩んだが、北朝鮮は共産主義を標榜しながら、絶対専制主義君主の道を選んだ」と、結局は逆に批判している。
また、他の書き込みでは、「皇帝」と称された毛沢東主席でさえも、自身の息子や親族に最高指導者の座を世襲するようなことはなかったとして、「中国と北朝鮮はよく兄弟といわれるが、世界で唯一、世襲制を宣言し正当化するような弟は持ちたくない。習近平国家主席はすぐに北朝鮮と国交を断絶すべきだ」などと「断交」まで主張するものもある。
北朝鮮の世襲の明文化について、中国政府は正式にコメントはしていない。