暴力団と対峙することも躊躇わず、凶悪な事件を繰り返し起こしてきた半グレ集団。今年3月、警察庁は元暴走族の「関東連合」や中国残留孤児2世、3世から成る「怒羅権(ドラゴン)」を「準暴力団」と位置づけ実態解明に乗り出した。
今後、裏社会の勢力図にどのような変化が起きるのか。首都に群雄割拠する半グレ集団の実態に迫った。
池袋や新宿歌舞伎町を中心に活動する怒羅権メンバーの凶暴さは関東連合以上だ。グループの成り立ちは差別や貧困を背景にしたもので、組織名は日本社会に対する怒り、同胞の団結、権利の意味が込められているという。
「彼らは売春、クスリ、賭博、偽造、盗難車売買など、かつて暴力団の独擅場だった闇ビジネスに積極参入し、資金力を付けていきました。現在も合法・非合法のあらゆるシノギを持っています。
組織の性格としては、半グレというよりむしろ“マフィア”と呼ぶのが相応しい。一般人を狙った強盗や殺人未遂事件も幾度となく起こしています」(ジャーナリスト・丸山佑介氏)
最近では、東京・池袋の中国系ホストクラブで働いていた怒羅権メンバーが、「態度が気に食わない」と女性客に殴る蹴るの暴行を加え顔面骨折の重傷を負わせる事件も起きた。たとえ相手が一般人であろうと容赦なく牙を剥くのが半グレ集団の特徴だ。
現時点で東京では関東連合と怒羅権が2大勢力と言える。両者とも友好関係にあり、組織一丸となって活動することはほぼ皆無なので、抗争に発展することはない。
※SAPIO2013年9月号