旧日本海軍の戦闘機・零戦への注目度が増している。零戦設計者の堀越二郎が主人公のジブリ映画『風立ちぬ』がヒットしていることや、零戦で戦った特攻隊員の姿を描いた小説『永遠の0』が映画化決定で人気が再燃していることもブームを後押ししているようだ。
埼玉・所沢の所沢航空発祥記念館では、昨年12月から特別展で零戦を展示。第2次世界大戦当時のまま保存され、現在もアメリカの航空ショーなどで飛行している零戦52型をひと目見ようと、この夏休み、多くの来場者でにぎわっている。
「展示開始当初と比べると、来場者はかなり増えています。とくに夏休みは増えていますね。年配の男性が中心ですが、『風立ちぬ』の影響でしょうか、最近は若い人も増えています。“『風立ちぬ』を見て来た”というかたもいらっしゃいます」(同記念館の広報担当者)
広島・呉市にある「呉市海事歴史科学館 大和ミュージアム」では、1978年に琵琶湖から引き上げられた零戦62型を展示しているが、こちらも7月、8月の来場者数は昨年に比べて増加している。
展示だけではない。プラモデルにも零戦の人気は及んでいる。プラモデルメーカーのタミヤでは、11種類の零戦のプラモデルを販売しているがここ最近、問い合わせが増えていると明かす。
「店舗での売上も伸びています。『風立ちぬ』の影響で零戦や堀越さんについてテレビや雑誌などで特集され零戦の露出が増えて、結果的にプラモデルの購入にもつながっているのでは? 『永遠の0』の影響も少なからずあると思います。ベストセラーの小説がさらに売れているようですし、映画が公開されたらさらに注目されると期待しています」(タミヤの広報担当者)
零戦や堀越二郎を題材にした書籍も多く出版されている。ジュンク堂書店池袋店では、
「今月も新しくムック『堀越二郎の戦闘機がまるごとわかる本』が発売されるなど、点数は増えています。過去に発行されている零戦や堀越二郎の本も売れています。やはり『風立ちぬ』や『永遠の0』の影響があると思います」(広報担当者)とコメントしている。
都内の書店では、零戦関連の本を集めたコーナーを設置する店舗も増え、売り上げを伸ばしている。年末の映画『永遠の0』公開まで、しばらくブームは続きそうだ。