今年12月26日は中国の故・毛沢東主席の生誕120周年となる。この記念日を祝って、中国政府は毛沢東の故郷、湖南省湘潭市に新たな記念館などを建設するほか、生誕した旧居の改装、記念の書籍刊行などで総額155億元(約2500億円)もの巨額予算を組んでいる。
習近平国家主席は腐敗撲滅のため、「ぜいたく禁止令」を出し、国民は質素な生活を強要されていることから、「死んだ毛沢東に金をかけるよりも、生きている老百姓(ラオバイシン=庶民)にもっと金をかけろ」とネット上では非難ごうごうだ。
湖南省の湘潭市政府のホームページによると、毛沢東生誕120周年記念プロジェクトは主に16項目に及んでおり、故郷の韶山に毛沢東の遺品などを展示した歴史博物館の建設、韶山毛沢東同志記念堂の旧館や毛沢東広場周辺や韶山への道路の整備、毛沢東が通った韶山小学校の再建、鉄道や道路の新設。これに加えて、記念の書籍や画集、写真集の発行などが加わる。
さらに、生誕120周年プロジェクトに便乗する形で、湘潭市や韶山町の観光地の整備、ダムの建設、文化産業館の新設などに約50億元(約800億円)をかける予定だ。
中国では現在、ぜいたくな地方政府庁舎の新設や不必要なインフラ整備などが中止されているほか、食事の食べ残し禁止やぜいたく禁止令も出されているが、湘潭市でのプロジェクトについては、毛沢東の熱烈な崇拝者で知られる習主席が後押ししているといわれる。
さらに、習主席は120周年の記念日に合わせて、毛沢東主席をテーマにした映画や大型テレビドラマ、創作劇などの制作を計画していると伝えられる。
こうした状況の中、同市のホームページには市民から「あまりにも予算をかけすぎている。いま習近平主席はぜいたく禁止令を指示しているのに、毛沢東も草葉の陰で泣いているに違いない」「庶民の生活向上にもっと金をかけろ」などの書き込みが見られた。しかし、市当局もさすがに「体裁が悪い」と思ったのか、いまは削除されている。