プロ野球もシーズン終盤に入り、セ・リーグは巨人、パ・リーグは楽天が首位を走っている。巨人は阿部慎之助が4番としてチームを牽引し、楽天は田中将大が開幕から絶好調。期待された主軸の働きで、優勝も完全に視界に入ってきた。
その裏で、フロントの功績も見逃せない。今シーズン、オープン戦開始以降に成立したトレードは6件で、11選手が移籍した。各球団とも弱点を補強するために動くものの、シーズンに入ってしまうと大物は動きづらく、両球団ともにトクをするというケースは少ない。
事実、現在も一軍登録されている選手は11人中3人(8月16日現在、以下記録は同)。開幕直前に捕手同士のトレードとなったロッテ・田中雅彦(現・ヤクルト)とヤクルト・川本良平(現・ロッテ)は序盤こそチームに貢献したが、正捕手である相川亮二(ヤクルト)、里崎智也(ロッテ)が復帰すると、出番が減少し、ともに二軍落ちとなった。
投手陣が壊滅しているDeNAは、西武から長田秀一郎を獲得したものの、期待したセットアップはできず。代わりに放出した渡辺直人は、西武でスタメンを張り、堅実な動きを見せているものの、打率1割台と打棒は振るわない。
全体的にトレード選手が低調のなか、予想以上の働きを見せている選手がいる。広島から巨人に移籍した青木高広、中日から楽天に移籍した岩崎達郎だ。
青木は広島時代の一昨年は中継ぎで76試合の登板したものの、昨年はキャンプ中に左ヒザを負傷し、一度も登板できないまま、シーズンを終えた。昨年肩を休められたことが幸いしたのか、巨人移籍後は貴重な左の中継ぎとして4勝を挙げ、防御率1点台と層の厚い巨人投手陣のなかでも存在感を示している。
岩崎は、連覇した落合博満監督時代の2010~2011年にはバイプレーヤーとして活躍。2010年には、わずか85打席ながら、犠打17を決めていた。だが、開幕直前に出場機会を求め、楽天へ。開幕からずっと一軍に帯同し、松井稼頭央の代わりにスタメンを張ることもある。貴重な控え選手として、欠かせないメンバーとなっている。
巨人と楽天の好調要因のひとつには、難しいといわれるシーズン途中のトレードを成功させたこともあるのだろう。