何かと日本のせいにし、国内の反日感情を煽る中国と韓国。外交評論家の加瀬英明氏はエスカレートする中国、韓国の反日姿勢についてこう述べる。
「やはり安倍首相は靖国神社に参拝すべきでした。オバマ政権の『中韓を刺激するな』という声に従ったわけですが、中国や韓国にすれば、結果的に自分たちが『参拝するな』とプレッシャーをかけたら参拝しなかったのだから、力を得てさらに声高になるのは当然です。事実、中韓は日本の弱みに付け込んでますます無理難題をいってきているではないですか」
その象徴ともいえるのが、戦時中に日本企業に強制労働させられたという韓国人らが、いまになって日本企業に損害賠償を求めている強制徴用訴訟だ。ソウル高裁が7月10日、新日鉄住金(旧新日本製鉄)に対し、訴えを起こした韓国人4人へ計4億ウォン(約3500万円)の賠償を命じたことを受け、8月18日、産経新聞など一部メディアが、新日鉄住金が賠償に応じる意向だと報じた。「同社幹部は『取引先にまで影響が及ぶ可能性があり、確定判決を無視するのは困難』としている」(産経)という。
その後、新日鉄住金はこの件に関するプレスリリースを発表。「不当な判決だと考えており、7月30日に大法院(韓国最高裁)に上告いたしました。今後、大法院にて、当社の主張の正当性を明らかにしていく所存です」としている。賠償に応じるか否かについては、本誌取材に対し「今後どうなるかについては、現段階でお話ができることではございません」(広報センター)と明言を避けた。
元時事通信ソウル特派員のジャーナリスト、室谷克実氏は、この訴訟の行方を厳しく見つめている。
「もし新日鉄住金が賠償に応じれば、ヤクザに個人商店が見かじめ料を払うのとまったく一緒です。一旦、払ってしまうと、どんどん要求はエスカレートしていくし、将来的には取り返しがつかないことになります」
産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏は、「全く払う必要のない金だ」と断言する。
「本来はすべて解決済みの話。1965年の国交正常化の際、すべての補償は韓国政府が一括して日本から受け取り、個人補償は韓国政府が行なうことで日韓が合意し、韓国政府はまとめて5億ドルの請求権資金を受け取っているんです。ところが韓国政府は卑怯なことに、個人が日本企業を訴えるのは勝手だとそのことをいわない。
日本企業が戦々恐々としているなか、安倍政権が政府として韓国政府に釘を刺すべきだが、右寄りと警戒されている安倍政権がやると逆効果になりかねないジレンマがあります」
日本企業が怯えるのも無理はない。すでに三菱重工業が7月30日、同様の訴訟で韓国人5人に対し計4億ウォン(約3500万円)の支払いを釜山高裁から命じられており、機械メーカーの不二越も現在、韓国で訴訟中だからだ。
※週刊ポスト2013年9月6日号