8月20日、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県七ヶ浜町を日帰りでご訪問、被災者を励まされた皇太子ご夫妻。おふたりの被災地慰問は、2011年8月の岩手県以来、約2年ぶりとなる。
仮設住宅では40人ほどの被災者に出迎えられた。ここには高齢者が数多く生活しており、いすに座っての懇談となったが、雅子さまは膝を折り、中腰になられ、目線を同じ高さにして、熱心に話をされていた。
七ヶ浜町では、ご来訪にあたって住民が困惑する出来事もあった。皇太子ご夫妻が訪問される1週間ほど前から、白バイ、パトカー、覆面パトカーなどが数十台も連なって、町内を走り回った。
「早朝からそんな光景が繰り広げられるんです。びっくりしてお巡りさんに聞いたら、“皇太子ご夫妻が来られるので、その予行演習です”とのことでした。昼間も、ずっと警察官が仮設住宅の敷地内を巡回していて、すごく物々しい雰囲気になっているんです。早く普段通りの静かな環境に戻ってほしいですよね」(仮設住宅で暮らす70代の男性)
さらに警察や役所、仮設の役員などからは、仮設で暮らす人々にこんな要請が。
「当日は、仮設の住民以外は絶対に敷地内に入れないでください」
「仮設の住民は名札を必ず着用してください」
「仮設に住んでいる人の名簿を提出してください」
しかも、これらを何度も何度も耳にたこができるほど聞かされるという。また、皇太子ご夫妻と話すにあたって、禁止事項まで告げられたという。
「雅子さまの健康については触れてはならない」
「愛子さまのことも聞かないでください」
これには仮設で暮らす60代の女性がこう嘆いた。
「実は私、難病を患っているんです。それでも何とか頑張って過ごしています。ですから、もし雅子さまとお話しする機会があったら、自分の病気のこと、それから雅子さまのご健康のことも話してみたかったんです。
亡くなった小学生の孫のこともお話しして、愛子さまの話も聞いてみたかった。それなのに“そういったことはダメだ”と言うんです。せっかく来てくださるのに、“あれも、これもダメ”というのは何かちょっと違うような気がするんですよね」
被災者と会って励ましたいと強く願われ、万全ではないご体調の中で、慰問を決断された雅子さま。しかし、それをサポートするはずの周囲の人々や行政の過剰なまでの気遣いが、逆に本来、励まされる立場の被災者たちを困惑させ、苦しめているのだ。
※女性セブン2013年9月5日号