冷やし中華の「元祖」といわれる店は、東京・神田と宮城・仙台の2店あるというが、いったいどうなっているのか。その「元祖の真相」について、ラーメン評論家の大崎裕史氏が解説する。
「東京の揚子江菜館説、仙台の龍亭説と、冷やし中華の元祖には諸説あります。同時代に、別々の場所で似たものが生まれるのは珍しいことではありません。夏場は熱いラーメンの売上げが下がるので冷たいものをというのは自然な流れです」
では、どちらか1店が元祖、というわけではないのか。
「冷やし中華はむせるほど甘酸っぱくて飲めないタレが特徴。そういう意味で、元祖は龍亭でしょう。龍亭から全国に広まったのも間違いありません。
とはいえ冷やし中華といえば、玉子やきゅうり、ハムなど色とりどりの具が華やかに盛られたスタイルも特徴。この盛り方の元祖は揚子江菜館の“富士山盛り”です。味と盛りつけ、この2軒の融合が、現在の冷やし中華を形作ったといえそうです」
冷やし中華は、近年、具や味のバリエーションが増えている。
「冷やし中華は長年定番のスタイルが守られていました。それを壊したのは平成13年に誕生したぽっぽっ屋のサラダ麺です。最近はガッツリとした二郎系冷やし中華も登場し百花繚乱です」
撮影■岩本朗
※週刊ポスト2013年9月6日号