今、市場関係者の間では、「今後の日本株の方向性は、9月に剣が峰を迎える」が合言葉になっているという。株式評論家の植木靖男氏の解説。
「まず9月7日に、東京が立候補している2020年夏季オリンピックの開催地が決まります。続いて、9日にGDPの4-6月期の2次速報が発表されます。それは、消費税を引き上げるかどうかの判断基準とされる数値です。
五輪招致と消費増税。2つの大きなテーマの行方次第では、揉み合っている相場の突破口が見えてくるので、市場関係者は9月に熱い視線を向けています」
下馬評ではリードが伝えられている東京五輪の正式決定。そして、財政再建のために世界各国から所望されている消費増税を安倍首相が既定路線通りに決定することができれば、その2つが起爆剤になって日本株の反転上昇が期待できるというのだ。
では、東京五輪が決定すれば、どれほど株価を刺激するのか。2008年に行なわれた北京五輪が中国経済の上昇に大きく貢献し、リオ五輪が行なわれる16年までブラジル経済は堅調だとされていることを考えれば、五輪招致のインパクトは決して少なくはないはず。
株式ジャーナリストの岡村友哉氏は、「日経平均先物がドカンと500円高ぐらいまで即日に買われる予感がする。それほど株式市場にとっては明らかにプラスです」と指摘する。
また、カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏もこういう。
「東京湾岸地区を中心に1300億円を投じて競技施設の新設・増改築を行なう計画をはじめ、東京都の試算によると五輪開催が国内経済に与える波及効果は、2013年9月から2020年9月で約3兆円に上ります。それが経済を引っ張らないわけがない」
※週刊ポスト2013年9月6日号