免疫力の高い人は、病気にかかりにくいといわれる。免疫の重要な働きは細菌、ウイルス、カビなどによる感染の防御や、がん細胞の殺傷・増殖阻止、さらに動脈硬化抑制にもかかわることが分かってきた。
免疫はリンパ球(T細胞やB細胞)が主役となり高度な機能を駆使する獲得免疫系と、好中球やマクロファージが細菌などを食べて殺菌・分解する自然免疫系がある。皮膚や粘膜など体中の組織にも免疫力をサポートする細胞が数多くあり、これらが総合的に働き身体を守っている。
東京医科歯科大学名誉教授で健康ライフサイエンス代表取締役の廣川勝いく(※「いく」は日の下に立)医師の話。
「免疫力に最も影響を与えるのがストレス、そして食生活や運動を含む不適切な生活習慣です。それらが個々の人で異なるので、加齢変化も個人差が大きいのです」(廣川名誉教授)
高い免疫力を維持するためには、ストレス回避や解消、食生活や運動などを考慮した生活習慣の改善が欠かせない。ただし、過度の運動はかえって免疫を低下させるため、少しずつ運動量を増やしていくことが大切だ。また簡単に免疫力を上げるには、楽しい環境作りも一つの方法だ。大声で笑うだけで、免疫細胞の活動が活発化されるといわれる。
近年、免疫力を保つ上で注目されているのが腸内環境。腸は体内で最大の免疫器官といわれ乳酸菌など善玉菌を増やし、腸内環境を適正に保つことで、免疫力が維持される。
免疫力アップのためサプリメントを服用する人も多いが、サプリメントは全ての人に同じように効果があるわけではない。可能ならサプリメントを摂る前後で免疫力を測定すれば、自分に合ったサプリメントを選ぶこともできる。免疫力検査は健康ライフサイエンス提携医院で受けられる。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2013年9月6日号