「慰安婦強制連行」説を主導してきた朝日新聞だが、近現代史家・ジャーナリストの水間政憲氏は、戦時中の朝日新聞朝鮮版が「慰安婦」についてどのように報道していたかを精査した。新刊『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』(小学館)の中で、水間氏は以下のように解説している。
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朝鮮半島で一般女性を拉致監禁して遊廓などに売り飛ばしていたのは悪徳朝鮮人業者だった。では朝日新聞・朝鮮版では当時のこのような状況をどう伝えていたのだろうか。
〈婦女誘拐の一味 遂に送局さる 元釜山府臨時雇らの首魁
官印偽造、公文書を偽造行使し多数の婦女子を誘拐した元釜山府庁臨時雇釜山府大倉町四丁目五十九番地金東潤(二十七年)ほか七十七名に係る公印偽造、公文書偽造行使詐欺誘拐事件は釜山署で取調中のところ今回取調終了、二十日一件記録とともに身柄を送局したが拘束者は金東潤ほか九名、起訴意見十一名、起訴猶予五名、起訴中止六名、不起訴五十五名である。
被害婦人は二十八名に上り、このほか南洋方面に誘拐されたものも多数ある〉(『大阪朝日・南鮮版』1939年11月21日付)
他にも悪徳朝鮮人業者が摘発された記事がある。
〈田舎娘など十四名も誘拐 一味送局さる
京城府蓬莱町四丁目無職裴長彦(五十七年)ほか十一名は共謀して田舎の生活苦に喘ぐ家庭の娘、あるひは出戻り女など十四名を誘拐して酌婦あるひは娼妓などに売飛ばして約一万余円をせしめてゐた事件は西大門署で取調べてゐたが、二十五日一件書類とともに送局した〉(『大阪朝日・西鮮版』1940年6月28日付。写真)
朝日新聞も「強制連行」の真犯人が朝鮮人だと報じていたのだ。「慰安婦」は当時合法であったにもかかわらず社会問題となったのは、一部で悪徳朝鮮人業者が婦女子を拉致、誘拐していたことによる。そこで、これらの悪質な朝鮮人業者に対し、陸軍省は1938年3月4日に『軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件』と題する命令書を発令している。
「(婦女子を)不統制に募集し社会問題を惹起する虞あるもの(略)募集の方法誘拐に類し警察当局に検挙取調を受くるものある等注意を要す(略)周到適切にし其実施に当たりては(略)警察当局との連携を密にし(略)社会問題上遺漏なき様配慮」せよというものである。
悪徳業者に十分注意し、問題の起こらないように配慮を怠るなという厳命である。
だが、朝日新聞は1992年1月11日の朝刊トップで、この『軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件』を「(慰安婦)募集含め統制」と書き、軍が慰安婦募集に直接関与していた証拠として取り上げたのである。悪徳業者を取り締まるための軍の「良識的な関与」を、あたかも軍が「強制」に関与したかのように報じるのは意図的な事実の歪曲だろう。
※『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』(小学館)より