マンガを使った企業キャンペーン――。使い古された手法のようだが、今年に入って各企業が続々と採用している。今年2月、日本・コカ・コーラは、「太陽のマテ茶」で、撮影した写真を漫画化するアプリ「漫画カメラ」とタイアップし、同商品のオリジナルフレームを提供した。
ユニリーバ・ジャパンのヘアケアブランド「LUX」では、桜沢エリカ、おかざき真里、ひうらさとるの3人が描くマンガの中に自分自身が登場する「デジタル漫画ジェネレーター」の「LUX SOCIAL MANGA」を公開した。これは、Facebookと連動したもので、Facebookに登録したプロフィール情報や写真が前出の漫画家が作った作品に反映されることで、あたかも自分が漫画に登場するように見えるもの。これは8月をもって終了した。
カゴメでは8月15日まで、「野菜一日これ一本」パッケージにあるシリアル番号をキャンペーンサイトから入力すると、ホイチョイ・プロダクションズ書下ろしの『気まぐれコンセプト』スピンオフ4コマが読めるキャンペーンを実施していた。
現在展開中なのは、7月に開始した明治の「バンホーテンココア」を買って、パッケージのQRコードを携帯電話で読み取ると、人気漫画『テルマエ・ロマエ』の1話を無料で読めるキャンペーン。8月下旬からは「明治フルーツオ・レ」も対象となった。
さらにこのキャンペーンには、紙パックの飲み口を新たなメディアに、WEB連動でマンガコンテンツを楽しむ「パクコミ(紙パックコミック)」という手法が使われている。パッケージ表面にマンガの1コマ目で“問いかけ”が描かれ、閉じた部分に答えの2コマ目が隠されている。隠されているものを見たいという心理をついた、まさに“袋とじ”感覚の手法だ。
現在実施中なのは、ほかにもグリコが楽天とコラボレートしたキャンペーンがある。「プリッツ」パッケージにあるクーポンコードをkoboイーブックストアで入力すると、人気コミック10作品を無料ダウンロードできるキャンペーンを展開。電子書籍を軸とした新たな試みだ。
企業によるマンガの企画が続出していることについて大手広告代理店の営業担当はこう語る。
「ネットの普及で人々は様々なテキスト情報を見出しだけ見て行ったり来たりするようになった。いわば“浮気性”になったわけです。そこでなんとか情報の洪水の中、なんとか目を引いて、さらには少しでも長時間とどまってもらうために、イラストと文字がセットになるマンガを使うニーズが増えました。
あと、スマホやタブレット、PCでマンガを見る人も増えているので、一時期の『やはり紙で読みたいよね』という保守的な考えも消えた今こそ、という気持ちが広告主の間にもあります」