巨大ネット掲示板「2ちゃんねる」で、約3万人の個人情報が流出し、匿名で好き勝手なことを書き込んできた「2ちゃんねらー」の間に動揺が広がっている。また、騒動に拍車をかけたのがマスコミ関係者の多さだ。既に朝日新聞、毎日新聞、日刊スポーツ、中日新聞、NHK、日テレ、テレ朝などの関係者と思しき社用アドレスが流出していたことが明らかになっている。
「多くが過去ログの検索を利用するために有料登録していたようです。2ちゃんねるには関係者による内部告発も多いため、情報収集活動の一環として利用する記者も多くいます」(全国紙記者)
実際、これら判明したアドレスの持ち主に小誌がメールで取材を申し込んだところ、ある大手紙記者からこんな答えが返ってきた。
「取材活動の一環で有料サービスを利用した、と会社には説明しています。実際、2ちゃんねるには企業不祥事の内実や事件当事者の告白が投稿されていることもあり、記者には欠かせないツールです。私は掲示板を検索するだけで書き込んだことは一切ありません」
だが、情報収集に同掲示板の検索を利用するならまだしも、プライベートな書き込みも発見されている。
大手紙の記者と思しき男性は大島優子推しのAKB48ファン。同掲示板では大島を熱烈に支持する一方、他メンバーへの誹謗中傷も忘れない。この男性の投稿、〈指オタはブス・カルト集団〉とは、熱狂的なファンを多く持つAKB48の新女王、指原莉乃ファンへの悪意ある非難である。
さらに驚くべきことは、男性がこれらの発言を投稿した場所は、男性が所属する新聞社内のパソコンだったこと。ネットユーザーらによって、流出データからアクセス情報が解析されたことで判明した。“推しメン”のライバルたちを非難する側から、今では自らが非難される対象となってしまったのだ。
アドレスから大手テレビ局の社外スタッフ──ADやディレクターといった制作会社関係者と思しき男性の投稿履歴は“契約社員の悲哀”を感じさせる。賃金の低下と反比例して従業員一人一人に責任を持たせる世の風潮に対して、疑義を呈した投稿を書き込んだ形跡が見られたからだ。
「今後、取材で知り得た事実を匿名掲示板に書き込んでしまったなんて事実が発見されれば大変なことになる。内容によっては記者の身分を隠した世論誘導ともとられかねない。取材で必要だったとはいえ、会社のアドレスを利用することは危機意識に欠けているとしか思えない」(全国紙記者)
※週刊ポスト2013年9月13日号