2020年夏季五輪の開催地が9月7日(日本時間8日)に決定する。東京五輪招致決定で懸念されるのがデモなどの騒乱だ。
「朝鮮人を殺せ!」「日本から出て行け!」
物々しい一団が日の丸の旗を手に叫ぶ。在日韓国・朝鮮人の排除をうたう団体「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などが主催するヘイトスピーチはもはや東京・新大久保の日常風景となった。
もし東京に五輪が招致されたら──。デモに定期的に参加する男性が語る。
「昨年のロンドン五輪のサッカー日韓戦で、韓国選手が『独島(竹島の韓国名)は韓国のものだ』という五輪憲章で禁じられている政治アピールをしたばかり。東京でもまた何かやってくるに違いない。それを阻止し、韓国人の横暴さを世界に知ってもらうためにも頑張らねばなりませんね」
この男性は、「開催が決まれば気合いが入りますよ」と息巻くが、大会中、多くの外国人にヘイトスピーチはどう映るのか。在特会の取材を続けているジャーナリスト・安田浩一氏は、「世界中の笑いモノになるでしょう」と語る。
「欧州諸国などでは、こうした民族差別につながるデモは法律で規制されます。懲役刑を設けている国もある。先進国の常識から言えば、こういうデモが放置されていること自体が異常です。日本でも法規制に向けた議論は必要でしょう」
韓国人の挑発行為に対抗して日本のヘイトスピーチ集団が大暴走──スポーツの精神から離れた“場外乱闘”だけはご勘弁願いたいところだ。
※週刊ポスト2013年9月13日号