テレビの衰退ばかりが喧伝されていた近年には珍しく、この夏は「超・高視聴率番組」が話題に上った。
社会現象ともなったNHKの朝ドラ『あまちゃん』は、8月末に平均視聴率23.9%と番組記録を更新し、大ヒットとなった。また、TBSの日曜劇場『半沢直樹』は、第7回で平均視聴率30%の大台に乗せた。
テレビの「業界勢力図」は数年前とはガラリと変わった。今、民放ナンバーワンの座にあるのはテレビ朝日である。ドラマやバラエティがいずれも高視聴率を記録している。昨年視聴率2冠だった日テレを追い抜き、さらに引き離そうという勢いだ。
一方、凋落著しいのがフジテレビだ。8月の平均視聴率ではTBSに抜かれ、ついに4位に転落した。かつて1982~1992年に11年連続、2004~2010年に7年連続で視聴率3冠を獲得し、民放のトップランナーを自任していたが、今や見る影もない。視聴率に詳しいリサーチ評論家の藤平芳紀氏がいう。
「最近のフジには『半沢直樹』のようなキラーコンテンツは見当たらない。TBSが年間視聴率でフジを逆転することも十分あり得る」
フジの社員はうなだれる。
「安定して数字を取れるのは『サザエさん』と『SMAP×SMAP』くらい。4月スタートのドラマは比較的好調だったが、今期は10年ぶりに復活の『ショムニ2013』に広末涼子主演の『スターマン・この星の恋』など力を入れたドラマが揃って大コケ。“月9”の『サマーヌード』でさえ2ケタキープに汲々としている。“振り向けばテレ東”がジョークではなくなってきている」
※週刊ポスト2013年9月20・27日号