最愛の母・藤圭子さん(享年62)を亡くした宇多田ヒカル(30才)。現在、日本画家・福田天人さん(38才)と交際中だが、その出会いには知られざるエピソードがあった。
ヒカルは2002年9月、写真家で映画監督の紀里谷和明氏(45才)と結婚。しかし4年半の結婚生活の後、2007年3月に離婚。その裏にはヒカルの父・照實氏(65才)との存在もあったことは有名な話だ。
「紀里谷さんがスタッフに指示を出したそばから、照實さんが全く反対の意見を口出しするようになってトラブルになることも増えたようです。ヒカルさんは夫と父親の間で板挟み状態でした」(芸能関係者)
そうして再び父とともに音楽活動を再開させたヒカルだったが、彼女の心は限界に達していた。北アルプスの麓、長野県安曇野市の宿泊施設をヒカルが訪れたのはそんな時だった。
「あの宿は自然治癒力を高めるための朝の散歩やヨガなどのプログラムがあることから、心に傷を抱えた人や末期のがんで苦しんでいる人などが多いんだそうです。ヒカルさんが来たことも話題になっていましたよ」(地元の住民)
そして、ヒカルは福田さんと出会う。彼はその宿泊施設のオーナーの息子だったのだ。
外出することはほとんどなく、買い物も事務所のスタッフに頼むばかり。食べ物にも気を使うことはない。ヒカルの生活を耳にした福田さんは、「もっと外に出て、外の空気を吸ったほうがいい」「自然食品を食べたほうがいいよ」と彼女にアドバイスを送ったという。これまで誰からも言われたことのない親身な言葉にヒカルはすぐに惹かれていった。
2009年9月には同棲が報じられたふたり。彼の献身で元気を取り戻したからこそ、ヒカルは「人間活動に専念するため」と歌手活動の休止を発表した。
「親の真実は亡くなってから知ることが多いというけど生きてるうちに知っておきたい」――発表直後のラジオに出演したヒカルはこんな言葉を口にした。
「ヒカルはこれまで家族に対して目を背けて、音楽に生きてきました。でもそれでは、結局、自分が新しい家族を持ったとしても、同じことの繰り返しになります。それまで父の言葉のままに、思い込んでいたことを一度リセットして向き合おうと思ったんです」(ヒカルの知人)
いちばん身近な存在を疑うこと。身を切るようにつらい作業だったが、そうして初めて見えることは少なくなかった。
「ずっと考えないようにして生きてきたことの答を改めて問うて見ると、父親への疑心が生まれてきたそうです。父親は母親のことを悪く言っていたが、自分のことをいちばんに考えてくれたのは母親の方ではなかったのか。
あんなによくしてくれた祖母が疎遠になったまま死んで、墓参りにさえ行けないのはなぜなのか。そのまま日本にいて仕事を続けていたら、どうしても父親とかかわらざるをえません。ロンドン移住は照實さんと距離を置くためだったそうです」(前出・ヒカルの知人)
そして、福田さんもまた彼女の後を追った。そして、ヒカルが今夢見ているのが、彼の父親が経営する宿泊施設の裏手にある彼の実家の隣に家を建てることだった。
彼女にとってはそこで、恋人と新しい家族を持ち、いつの日か、母親を迎え入れることが、生きる希望だったのだろう。
「天人さんのおばあちゃんが“ヒカルちゃんがここを気に入って、ゆくゆくはここに家を建てたいというから、家の木を切ったのよ”って嬉しそうに話していましたよ。天人さんは去年、ヒカルさんから逆プロポーズされたんだそうです」(前出・地元の住民)
“森の新居”の完成をロンドンで待っていたヒカル。そこへ届いたのが母・藤圭子さんの悲報だった。
※女性セブン2013年9月19日号