テレビ界の業界勢力図は数年前とがらりと変わった。ドラマやバラエティのヒットでテレ朝が平均視聴率でトップに躍り出る一方、フジテレビはTBSに抜かれ4位に転落した。各局の勢いの差が如実に表われたのが「日曜戦争」だ。
8月25日は、日本テレビが『24時間テレビ』を放送。番組の最大イベントである88キロマラソンを走った森三中の大島美幸のゴールが番組終了に間に合わず、夜9時スタートの『行列のできる法律相談所』にずれこんだ。
そのため『行列』の視聴率は27.5%にまで跳ね上がり、一部では「裏番組の『半沢直樹』を露骨に潰しにかかった」との見立てまでが飛び交った。『半沢直樹』の視聴率は平均29%を記録したが、もし「遅延ゴール」がなければ30%超えは確実だったと見られている。
しかし翌週9月1日は『半沢』が“倍返し”した。30%を記録し、裏の『行列』(8.2%)を蹴散らした。
この間、テレビ朝日も大健闘。『過酷!! 真夏の無人島で2泊3日? 0円生活 5時間SP!』は、長時間放送にもかかわらず常時2ケタ台、瞬間最高で15%超をマークした。
各局しのぎを削るなか、フジだけが“撃沈”した。8月25日はロンドン五輪金メダリストの村田諒太のプロデビュー戦を生中継したが6.6%。9月1日は世界バレー女子の日本対アメリカ戦で9.4%だった。
局内では「戦える」と期待していた中継だけに落胆は大きかったといい、まさに同局の停滞ムードを表わす結果となってしまった。フジ社員が語る。
「それだけでなく、8月28日の世界柔道ではウチの局は大チョンボをやらかしてしまった。66キロ級の海老沼匡が一本勝ちし金メダルを獲得する瞬間をCMによる中断で放送できなかったんです。もうやることなすことうまくいかない……」
※週刊ポスト2013年9月20・27日号