お彼岸を控えたこの季節、帰省してきょうだい・親族と話をする機会が増えるが、なかには直接の対面をできるだけ避けたいという人も少なくない。聞けば、身内同士が相続でもめたのだという。そうした事例を、自身のラジオ番組等で数多く見聞きしてきた生島ヒロシさんは「“争族”を避けるには、相続の正しい知識と早めの準備が大切です」と説く。そこで、生島さんに基本となる相続の流れとルールを教えてもらった。
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故人に遺言があれば、まったく血がつながっていない赤の他人が遺産を受け取ることもできますが、通常は家族や親族が遺産を引き継ぐことになります。その権利を持つ人を法定相続人といいます。法定相続人には優先順位があります。
第1順位は「配偶者(夫か妻)と子供」。故人のきょうだいの人数にかかわらず、遺産をもらえるのは妻子だけです。割合は「配偶者2分の1と子供2分の1」。配偶者は必ず半分もらえる権利があり、子供が2人以上いれば、その人数で「子供の分」を分けます。
故人に子供がいないと、権利は第2順位の「親」に、子供も親もいないと、第3順位は「きょうだい」になります。
相続はあくまで権利。法定相続人だからといって、必ずしなければいけないものではありません。拒否することもできるのです。相続の手続きは、それぞれの相続人が「相続をするかどうか」の判断をすることから始まります。
たとえば、財産よりも借金が多いまま亡くなる人も珍しくないでしょう。その場合、相続人は借金を引き継ぐことになりますが、「相続放棄」をすればプラスの遺産もマイナスの遺産も一切受け取らずにすみます。
「親の借金は子供が引き継いで支払うべき」という考え方もあることは否定しませんが、法的には連帯保証人にでもなっていない限り、親子といえども無関係。肩代わりする必要はありません。
ただし、相続放棄する場合は「相続が開始したと知った日」から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。放っておくと、自動的に「相続を承認した」とみなされてしまいます。
「通常は死亡日が、相続が開始したと知った日になります。海外など連絡が取れない場所にいたときは、実際に死亡を知った日。3か月では遺産を調べきれないときは、期間の延長を申し出ることもできます」と、一般社団法人『相続診断協会』代表理事で相続診断士・税理士の小川実さんは説明します。
※女性セブン2013年9月26日号