中国の習近平・国家主席と台湾の馬英九・総統による中台首脳会談を香港で開催するとの計画が浮上している。中国共産党政権は2020年までに中台統一を果たすとのタイムテーブルを立案しているといわれる。
台湾側も中国国民党政権は「統一」を政策として掲げていることから、お互いが歩み寄る可能性は捨てきれない。その場合、歴史上3回目の国共合作が主要テーマになることも考えられる。
米国が拠点の中国ニュース専門ウェブサイト「多維新聞網」によると、台湾で中国問題を担当する台湾行政院大陸委員会と中国マカオ特別行政区政府が8月下旬、マカオで会合をもち、王郁琦・大陸委主任委員と崔世安・マカオ政府行政長官が会談した。台湾の中国担当トップとマカオ政府トップの会談は初めて。
主要議題は両者の高等教育交流や観光業の発展だが、マカオの崔長官は中国の最高指導者、習近平国家主席と近いとされるだけに、今回の会談で中台間のトップ交流についても話し合わせたとの観測が出ている。
それには根拠がある。台湾側が最近、10月にインドネシアで行なわれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)での中台首脳会談を提案したことが分かったからだ。中国側は、台湾の馬英九総統が「中華民国総統」との立場で習主席と会談することを要求してきたことから、即座に拒絶した。というのも、この要求では、中国が主張している「台湾は中国領の一部」ではなく、「国家」として認めることになるためだ。
その代わり、中国側は馬英九総統を「中国国民党主席」という国民党という台湾与党の「政党のトップ」の肩書きで、「中国大陸内」で会談することを打診。
そして、習主席に近い崔長官が台湾側に呼びかけて、初の中台実務者トップ会談にこぎ着けた。
実質的な中台首脳会談の場所としてはマカオではなく香港が候補地として挙がったのは、香港が馬総統の生まれ故郷であるためだ。
馬総統の任期は2016年5月までで、ほぼ3年半を残しているが、すでに支持率は10%台と低迷しており、中台首脳会談による国共合作が実現すれば、歴史に名が残ることは確実。野球に例えれば、起死回生の満塁逆転ホームランを狙って、馬総統は実現に前向きだという。
一方の習主席も中国の最高指導者に就任したばかりで、米中、日中関係など外交問題や経済改革問題、腐敗撲滅キャンペーンなど問題が山積していることから、中台統一につながる国共合作にこぎ着ければ、一気に権力基盤を固まることができる。お互いの思惑が一致している状況であり、中台首脳会談実現の可能性は十分にあるといえる。